
エコロジーオンライン創立25周年を記念してスタッフが上岡理事長にスペシャルインタビューを敢行。
これまで語られなかった活動秘話から地球への思いまで、今後の展望も含めてすべてを語っていただきました。
上岡裕インタビュー
EOL編集部:本日はお忙しい中、お時間をいただき、誠にありがとうございます。
早速ですが、上岡さんが8年間お勤めになられた会社をご退職され、地球規模の問題について活動されるようになったきっかけをお聞かせください。
子ども頃から音楽に興味を持っていました。様々なアーティストやミュージシャンのマネージメントといった業務に憧れを抱いており、レコード会社の門を叩きました。
ソニーミュージックという会社は、邦楽と洋楽の両方を手掛けるレーベルであり、世界と繋がる取り組みにも参加できるのではないかと考えました。
また、当然のことながら、音楽事業のみならず、ソニーグループとして多岐にわたる事業に関わる可能性も視野に入れていました。
退職のきっかけは湾岸戦争

31歳まで、ソニーでの業務に携わらせていただきましたが、退職の契機となったのは湾岸戦争でした。
当時、ブッシュ(父)政権下において勃発した湾岸戦争を機に、アメリカ合衆国と当時のイラクとの間で戦火が交わることとなりました。
私自身、ソニー・ミュージックに勤務する前、国際基督教大学(ICU)に通っておりましたので、海外の仲間も多く、世界のミュージシャンや人々との仕事を通じて、何らかの形で世界に貢献できないかという思いを抱いておりました。
そんな時、アメリカのCBS(当時、ソニーの子会社ではなかった)への留学の話が持ち上がり、社内選考が行われることになりました。
興味のある先輩や後輩が手を挙げる中、私も応募し、最終面接まで進みました。
しかし、選考結果はなかなか発表されず、上司に問い合わせたところ、その計画自体が立ち消えになったという返答を受けました。
自ら決断して行動しなければ人は動かじ

直接、担当者に確認したところ、「留学を希望する人材を派遣することは意義があるが、現場で活躍している人材が抜けることは組織にとって痛手である」という意見が上層部から出て、計画は一旦白紙に戻されたとのことでした。
「とりあえず、また話があるかもしれないから、それまで仕事に励んでほしい」と言われましたが、別れ際に上司から大江千里やエレファントカシマシの担当をしていることを伝えると、「君も忙しいな。頑張りなさい」と言われただけで終わりました。
私としては、折角勉強したのにという思いもあり、非常にショックを受けました。
結局、ソニーに在籍していても、何かをやりたいと思っても、自ら決断して行動しなければ人は動いてくれないということを悟りました。
油まみれの水鳥の映像に衝撃
長年親交のある先輩や上司に相談したところ、「アメリカで学びたいのであれば、辞めて行っても良い。これからはアメリカと日本、ひいては世界のエンターテイメントが繋がる時代になる。もし、君が退職してアメリカから戻ってきても、協力してくれる人は多いだろうし、ソニーに復職することも不可能ではないだろう」という言葉をいただきました。
これらの経緯を経て、自分でアメリカへ行くことを考え始めました。
その決意を固める上で、湾岸戦争が大きな影響を与えました。アメリカに留学したいと思っていた矢先に勃発した湾岸戦争を通じて、環境破壊の現状を目の当たりにし、衝撃を受けました。
特に、水鳥が油まみれになっている映像は忘れられません。(後にこれはfakeだと分かったのですが)これらの映像を前に、環境問題について学びたいという思いが募り、高校時代に影響を受けた田中正造氏の存在を思い出し、環境問題に取り組むことを決意しました。そして、会社を退職し、アメリカへ渡りました。
EOL編集部 : ありがとうございます。
上岡さんが25年の長きに渡り、地球環境問題に取り組んでこられたことで、社会にどのような変化がもたらされたと感じていらっしゃいますか。
(2/3に続く)