· 

歴史的な転換期を迎えた世界の電力供給!太陽光と風力が初めて石炭を追い抜く

Image by Erich Westendarp from Pixabay

 

地球温暖化対策の成否を握る「世界の電力」に、ついに決定的な転換点が訪れた。エネルギー分野のシンクタンクであるEmberが発表した「Global Electricity Mid-Year Insights 2025」は、2025年上半期に、世界の電力システムが大きな変革を遂げたことを示している 。太陽光発電と風力発電の力が、化石燃料中心だった世界の電力の勢力図を、本格的に塗り替え始めたのである 。

 

この半期で、世界の電力需要は2.6%(369 TWh)増加した 。しかし、これに対して太陽光と風力発電の増加量(合計で403 TWh)は、需要増を109%も上回るという画期的な成果を達成した 。電力の需要が増えても、そのすべてをクリーンなエネルギーで賄えるようになった、ということだ 。

 

特に目覚ましいのは太陽光発電である。過去最高の306 TWh(31%増)という記録的な成長を遂げた太陽光発電だけで、需要増加分の83%を単独で満たしている 。この結果、太陽光発電の世界の電力構成に占める割合は、わずか一年で6.9%から8.8%にまで上昇した 。

 

そして、このクリーンエネルギーの力強い伸びにより、世界の電力構成における再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力、バイオエネルギーなど)の発電量が、史上初めて石炭の発電量を追い抜くという、歴史的な快挙が達成された 。再生可能エネルギーのシェアは34.3%に達し、石炭のシェア(33.1%)を上回ったのである 。この事実は、太陽光や風力がもはや「代替エネルギー」ではなく、世界の電力システムを牽引する「主役」になりつつあるという、決定的な転換点を示している 。

 

クリーンエネルギーの活躍のおかげで、世界の化石燃料による発電量はわずかに減少(-0.3%)し、その結果、電力部門からのCO2排出量は微減し、事実上横ばいにとどまった 。もし太陽光や風力の増加がなければ、世界の排出量は大幅に増加していたと推定されており、これはクリーンエネルギーが地球の未来を守る「防波堤」となっていることを意味している 。

 

国別に見ると、このエネルギー移行の牽引役は中国とインドだ 。両国では、クリーンエネルギーの増加が需要増を上回り、石炭などの化石燃料の発電量と排出量を減少させた 。特に中国は、世界の太陽光成長の55%、風力成長の82%を占め、世界の移行を力強く牽引している 。一方で、米国やEUではクリーンエネルギーの伸びが需要増に追いつかず、化石燃料が増加し、排出量も増えるという課題が残されている 。

 

この報告書は、化石燃料需要のピークが間近に迫っているという、未来への希望に満ちた最初のサインを示している 。技術コストが下がり続ける今、各国政府と産業界が太陽光、風力、蓄電池への投資を加速させることが、クリーンで安価かつ安定した電力を世界中に届け、地球の温暖化対策を成功させる鍵となるだろう 。

 

<関連サイト>

Global Electricity Mid-Year Insights 2025

 

翻訳・文 / エコロジーオンライン編集部(AIを使用)

«一つ前のページへ戻る