Photo by Eugene Chystiakov on Unsplash
自動車メーカーのスズキが、インドで進めているとてもユニークな取り組みがある。それは、牛の糞尿という酪農の廃棄物から、車の燃料となるバイオガスを作り出すというプロジェクトだ。一見、自動車と酪農は無関係に思えるが、この事業には、地球環境や人々の暮らしをより良くするための、たくさんのやさしい思いが込められている。
インドでは、農村経済の中心に酪農業があり、たくさんの牛が飼育されている。牛の糞尿からは、二酸化炭素のなんと28倍もの温室効果を持つメタンガスが発生している。しかし、スズキはインド政府の全国酪農開発機構(NDDB)やアジア最大級の乳業メーカーであるBanas Dairyと手を取り合い、これらの糞尿を燃料に変えるバイオガスプラントの建設を進めている。
この取り組みは、単に環境に良いだけではない。牛の糞尿を有効活用することで、メタンガスを大気中に放出するのを抑えることができる。そして、作られたバイオガス燃料は、スズキがインドで強く支持されているCNG車にそのまま使うことが可能だ。この燃料は「カーボンニュートラル」であり、地球温暖化の抑制に貢献する。さらに、バイオガスを生成した後に残る「残渣」は、栄養たっぷりの有機肥料として農地に還元できる。これにより、化学肥料の使用を減らし、土壌を豊かにすることにもつながるのだ。
スズキがこのプロジェクトにかける思いは、単なるビジネスの枠を超えている。酪農家が廃棄物に新たな価値を見出し、農村に活気をもたらすこと。新しい雇用が生まれること。そして、インドのエネルギー自給率を高め、持続可能な社会を築いていくこと。この循環型の社会モデルは、インドだけでなく、将来的にはパキスタンなど他の国にも広がっていく可能性があるという。
この挑戦は、スズキが目指す「生活に密着したインフラモビリティ」の実現に向けた、大きな一歩である。それは、自動車というモノを売るだけでなく、人々の暮らしや地域の課題に寄り添い、より良い未来を共に創っていくという決意の表れだと言える。
エコロジーオンラインもマダガスカルの農村部でバイオガスの取り込みを進めてきた。このスズキの事例が呼び水となって「グローバル・サウス」の仲間たちを動かすきっかけになりそうだ。
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翻訳・文 / エコロジーオンライン編集部(AIを使用)








