【アメリカ発】下水汚泥から再生可能エネルギーが得られる!

 毎日大量に排出される下水汚泥が電気に変わったらどうだろう? 処理自体に大量のエネルギーを必要とする下水。都市部ではその量が膨大なことを考慮すると、下水汚泥を再生可能エネルギー利用することは都市部のエネルギー構造を根本から改善するチャンスになるかも知れない。その技術を米国のネヴァダ大学の研究チームが近く実用化する予定だ。

 下水処理には汚水のくみ上げや、空気と混ぜ合わせる通気、ゴミのすくい出し、油の分離、乾燥、そして廃棄という一連の作業があり、その処理に大量のエネルギーを消費する結果、炭素排出量も多大だ。特に大都市では下水の量が多いため、処理に要するエネルギーも多くなる。

 

 こうして処理された下水汚泥を再生可能エネルギーとして利用できたら都市のエネルギーサイクル自体が変化するだろう。今まで、都市ではエネルギーを外部から得て消費するだけだったが、エネルギー資源(下水汚泥)を自力でまかなうことによって、その場で発電できるようになるかもしれない。

 

 ネヴァダ大学の研究施設は、同州の町レノとスパークをカバーするトラッキー・メドース下水処理再生施設(Truckee Meadows Water Reclamation Facility)に併設される予定。そこで下水処理の有機的副産物である乾燥汚泥を燃料としてガス化させ、電気に変換する。完全な設備を備えた施設では、毎日14,000キロワット時の発電が可能だという。

 

 全国的に見て下水汚泥の発電への利用は大きな可能性を秘めている。例えば、カリフォルニアでは毎年70万トンの乾燥汚泥が排出されるが、これは100万キロワット時/日の発電に十分な量となる。環境法などが厳しくなる中で、下水処理自体のコストが値上がりする現在、確実に入手できる低価格なエネルギー資源の確保は更に重要になっていく。処理場で太陽光発電や他の再生可能エネルギーを利用すれば下水汚泥を利用した発電は十分経営可能だ。

 

 下水利用の他の方法としては、バクテリアを使って汚泥から直接発電する方法、下水やバイオガス回収からバイオ・プラスティックを製造する技術も、今後の実用化が期待されている。

 

 日本の都市では、限られた敷地の中で如何にこうした設備を造るかが課題となりそうだが、ぜひ産・官・学が知恵を絞って研究開発して欲しいものだ。

 

文:温野 まき 翻訳サポート:中野 よしえ

サイト

Clean Technica.com

URL: http://ow.ly/3xOiz

 

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