太陽の恵みを分かち合う「ソーラーシェアリング」

茨城県つくば市の「西高野ソーラーシェアリング発電所」
茨城県つくば市の「西高野ソーラーシェアリング発電所」

 植物は太陽の光を浴びて酸素と栄養素を作り出す――。誰もが知っている植物の光合成の仕組みだ。だが植物は、一定の強さ以上の太陽光を浴びても光合成量はそれ以上増えず(光飽和点の存在)、逆に強すぎる光は、成長を阻害する要因となってしまうことはあまり知られていない。こうした植物の特性に注目し、太陽の恵みを発電と農作物とで分け合おうと考案されたのが「ソーラーシェアリング」である。

 

 農地に太陽光パネルを設置しようする場合、農地を農業以外の用途で使えるようにする「農地転用」の許可が必要だ。しかしながら農地は、人々の生活に欠かせない食料を生産するための大切な土地。まして国土が狭く、人口の多い我が国にとって、食料の安定供給をはかるための優良な農地の確保は必須となる。そのため、農地法で一定の規制がかけられており、農地転用実現へのハードルは非常に高いものとなっている。

 

 今年3月末、農林水産省は、農業の継続と3年ごとの審査を条件に、農地への太陽光発電システムの支柱の設置を認める方針を決定。これにより、条件付きながら、農地を利用した太陽光発電が可能となった。

 

 ソーラーシェアリング発電所の特徴として、支柱を組んだ架台の上に、間隔を空けて太陽光パネルの設置を行う。パネルの隙間から下側の農地に光が入ることで、農作物を育てることができるというわけだ。その最大のメリットは、発電した電気が農家の新たな収入源となること。担い手不足や遊休農地の拡大、食料自給率の低下、そしてTPPへの参加など、農業を取り巻く環境は厳しいが、ソーラーシェアリングはこれらの課題を一掃できる可能性を持つ。当然、自然エネルギーの普及にも大きく寄与することだろう。

 

 ソーラーシェアリングは日本再生の切り札となるか。今後の展開が注目される。

 

文/加藤 聡

ソーラーシェアリングのすすめ

http://www.d3.dion.ne.jp/~higashi9/sola1.htm

 

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