自然と文化が受け継がれてきた二つの世界遺産候補

「東洋のガラパゴス」とも言われる小笠原諸島  Photo By phaphapha
「東洋のガラパゴス」とも言われる小笠原諸島  Photo By phaphapha

 5月7日、文化庁は岩手県平泉にある文化財群と東京都小笠原諸島に関して、世界遺産委員会の諮問機関(文化財はICOMOS、自然遺産はIUCN)から世界遺産一覧表への記載が適当であるとの勧告を受けたことを明らかにした。

 世界遺産は各締約国が「世界遺産暫定一覧表」の中から推薦し、ICOMOSやIUCNなどの諮問機関による審査・勧告を経た後に世界遺産委員会によって記載の可否が正式に決定される。今回の平泉文化財群と小笠原諸島の記載可否の正式決定は6月にパリで開催される世界遺産委員会で行われる。
 小笠原諸島は誕生以来一度も大陸と連結せず、独自の生態系が進化してきた場所でヘラナレンなどの植物やハハジマメグロなどの鳥類、オガサワラオオコウモリなど多くの固有種が生息している。
 これら動植物は、海流や風などによって運ばれたり、漂着物に付着していたなど様々な経路で小笠原諸島へたどり着き、その環境に適応しながら今日まで脈々とその種を維持してきたと考えられている。
 奥州藤原氏の息吹が連綿と息づく平泉とともに、これら二つの世界遺産候補は、文化・生命の歴史とそれを維持していくことの大切さを私達に語りかけている。

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