宇都宮大学とFM栃木、そしてエコロジーオンラインが協働したラジオ「カーボンニュートラルACTION」の2回目が昨夜放送されました。
今回もわかりやすくてタメになるお話でした。
ポッドキャストも対応していますので、全国の皆さんはそちらからどうぞ!
私たちの食卓に欠かせないコーヒー豆。そのコーヒーを育てる農家の人々は、毎年安定して豆を収穫することの難しさに直面している。特に、気候変動が進む中で、農業には予期せぬ変化にも耐え、安定した生産を続ける力、すなわち「レジリエンス(立ち直る力)」を高めることが求められている。アメリカのノースイースタン大学の研究者たちは、この課題に取り組むため、コーヒー農家が直面する「収穫量の波」に注目し、持続可能な農業のあり方についての非常に大切な教訓を発見した。
地球の未来を左右する気候変動問題において、森林はかけがえのない存在である。国際自然保護連合(IUCN)がCOP30に向けて作成した資料は、この森林の持つ二重の役割と、それを効果的に活用するための「モデルフォレスト(Model Forest)」というアプローチの重要性を強調している。
森林は、地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)を吸収する最大の味方である。毎年、化石燃料の燃焼によって排出されるCO2の約3分の1にあたるおよそ26億トンを吸収し、気候を安定させる役割を果たしている。科学者たちは、森林の消失を止め、荒廃した土地を再生することで、パリ協定の目標達成に必要な排出削減量の3分の1以上を賄うことができると試算している。
世界的な気候変動対策の現状は、依然として厳しい見通しだといえる。化石燃料による世界の二酸化炭素(CO2)排出量は、2025年も過去最高を記録する見込みであり、その増加ペースは、地球温暖化を産業革命前と比べて1.5度未満に抑えるというパリ協定の目標達成を極めて困難にしている。現在の排出速度が続けば、この1.5度目標を達成するために残された「カーボン・バジェット(排出許容枠)」は、わずか4年程度で尽きてしまうという計算だ。
ブラジルのベレンで開催されたCOP30(国連気候変動枠組条約第30回締約国会議)において、洪水、熱波、干ばつといった自然災害によって住まいを追われた人々の声が強く訴えかけられました。
地球温暖化は、北極圏の海洋生態系に対し、これまで見過ごされがちであった一つの劇的な変化をもたらしつつある。それは、海中に差し込む光の量の変化である。北極の温暖化が他の地域よりも遥かに速いペースで進む中、厚い海氷という「蓋」が失われることで、何千年もの間暗闇に閉ざされていた海域に、今、大量の太陽光が降り注ぎ始めたのだ。
私たちが毎日の食卓で選ぶ「一皿」の食べ物が、遠く離れた地球上の動物たちの運命を左右している――ケンブリッジ大学の研究者たちが開発した新しいツールは、この厳しい現実を定量的に明らかにした。この研究は、食料生産が世界の3万種を超える陸生動物の絶滅リスクにどう影響しているかを測定し、私たちの食習慣が持つ生物多様性への影響の大きさを浮き彫りにしている。
国連気候変動枠組条約(UNFCCC)のサイモン・スティール事務局長は、最新の「国が決定する貢献(NDC)統合報告書2025」の発表にあたり、世界の気候行動は新しい時代に入り、進むべき方向性は明確に改善されているものの、その速度を緊急に加速する必要があるという力強いメッセージを発した。
地球温暖化は、私たちが目にする地上の生態系だけでなく、その足元に広がる「地下の生態系」にも、深刻かつ広範囲な影響を及ぼし始めている。最新の研究では、気候変動が世界の「地下生態系の多機能性(belowground ecosystem multifunctionality)」を大幅に低下させると予測している。
「地下生態系の多機能性」とは、土壌の中に生きる無数の微生物や菌類、動物たちが同時に担っている、複数の重要な役割のこと。具体的には、養分循環(窒素やリンを植物が利用できるようにする働き)、有機物の分解、土壌の構造安定性の維持、そして炭素貯蔵といった、生命を支える上で欠かせないプロセスが、この多機能性に含まれる。この機能が健全に保たれてこそ、地上の植物は豊かに育ち、人類の食料生産や、地球の気候安定化が成り立っている。
古代エジプトの壮大な歴史を今に伝えるツタンカーメン王の墓(KV62)が、地球温暖化によって引き起こされる気候変動の影響により、崩壊の危機に瀕しているという深刻な報告がなされた。これは、単なる建物の老朽化ではなく、人類の貴重な文化遺産が、現代の環境問題によって直接的な脅威に晒されていることを示す事例である。
この研究は、高性能な3次元シミュレーションソフトウェア(PLAXIS 3D)と、岩盤の継ぎ目や亀裂を考慮したモデルを用いて、王墓の地盤工学的な安定性を詳細に解析したもの。その結果、王墓の構造的健全性を脅かす最大の要因の一つとして、気候変動による豪雨と鉄砲水の増加が浮かび上がってきた。