インド、スリランカ、ネパールなど、南アジア地域の気候は夏と冬のモンスーン(季節風)の交代が特徴的で、その前進、後退によって季節が決まる。気候変動が同地域のモンスーンに影響を与えるという予測は以前からあり、そのなかには深刻な予想もある。今回、独ポツダム気候研究所(Potsdam Institute for Climate Impact Research)が調査したのは、100年後およびそれ以降に気候変動がモンスーンに与える影響についてだ。
『Environmental Research Letters』誌に発表された今回の調査によると、今後200年間で夏のモンスーンは年間降水量に「頻繁かつ深刻な不出来」をもたらすという。その結果、農業はもちろん、南アジア一帯の生活環境は大きな影響を受けると予想される。
「不出来」とは、降水量が全くなくなるというわけではない。調査が定義する「不出来」とは通常の観測記録レベルの40~70%の降水量のことを示す。通常の観測記録レベルとは、1870年までさかのぼる観測記録に基づいている。
この降雨量減少の原因は、Pacific Walker circulation(ウォーカー循環)という太平洋赤道域の大気の東西循環があるが、その春の変化が今までより頻繁にモンスーンの発達を妨げるためだという。現在では、エル・ニーニョ現象(海水温の上昇)が生じる場合に起きていると推測されている。
翻訳サポート/中野よしえ
文/温野まき
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