山形の森から生まれた木のブロック 「もくロック」

MOKULOCK ギフトセット120ピース
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 子どもの頃、誰もが一度は体験したことのあるブロック遊び。色とりどりの四角いピースを自由に組み合わせて遊ぶブロックは、思いついたものは何でも作ることのできる魔法のおもちゃだった。その素材といえばプラスチックが一般的だが、国産の無垢材を使ったブロックが山形県で作られていた。精密部品加工会社、ニューテックシンセイが制作する木製ブロック玩具「もくロック」だ。

 

 山形県は県土の約7割が森に覆われた森林王国。同県には、こうして身近にありながら、たくさんの恩恵を与えてくれる自然への感謝の気持を込め、草木の命を供養する 「草木塔(そうもくとう)」という碑や塔を建てる習慣があるという。1本の木さえも無駄にしないという山形の自然観は、森づくりの副産物である間伐材を使った木のブロックを誕生させた。

 

 材料となる木の種類は、サクラ、ホオ、イタヤカエデ、シデ、カバの5つ。もともと手と頭を使うブロック遊びには、子どもたちの想像力・創造力を高めることができるという効果があるが、さらに個性のまったく違う5種類の木を用いたことで、木のぬくもりや手触り、色や香りの微妙な差を、五感で感じることのできるおもちゃとなっている。子どもが遊ぶものだからこそ、自然素材であるという安心感も大きい。

 

 そして、役割を終え使わなくなった「もくロック」については、同社が引き取り、山形の山へと戻す「山に還すプロジェクト」という取り組みも行われている。「もくロック」が山の土に還り、新たな花や草木を育む――。ここでも草木塔の精神が実践されている。

 

 1つひとつ木から削り出して作られる「もくロック」は、非常に手間がかかる分、プラスチック製のブロックに比べればやや高価だ。しかし、それを補って余りある魅力が「もくロック」にはある。

 

文/加藤 聡

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