太陽光や風力などの自然からエネルギーを得て発電する、いわゆる再生可能エネルギーの導入が順調に伸びている。再生可能エネルギーで発電した電気を一定価格で電力会社が買い取る「固定価格買取制度」が2012年7月に始まってからは特に顕著で、経済産業省は10日、原子力発電所6基分に相当する585万kWが新たに発電を開始したと発表した。
福島第一原子力発電所の事故を受け、安全でレジリエンスの高い地域分散型のエネルギーを求める声は根強い。再生可能エネルギーによる発電は自然任せで不安定という特性があるものの、今回の発表は、国内の全原発が停止するなか、再生可能エネルギーがその解のひとつになりつつあることを感じる内容となった。
一方、585万kWの内訳では97%を太陽光発電が占めており、地熱、小水力、森林などのエネルギー資源が豊富な地域でも、それらによる発電の利用があまり進んでいない状況が浮き彫りになった。開発に費用がかかりすぎる、設置に関する規制が強すぎるなどが主な理由といい、政府や自治体も規制緩和などの対策に乗り出しはじめている。
災害や有事に弱く、特定の地域にのみ負担がかかる一極集中の発電から脱するためにも、地域特性を活かした発電環境が少しでも早く整うことを願っている。
文・中島まゆみ
コメントをお書きください