多様性を失った生命は病気に弱い!米大学が研究発表

研究の対象になったアマゾンの熱帯林のカエルたち / Gui Becke
研究の対象になったアマゾンの熱帯林のカエルたち / Gui Becke

生物多様性が保全され、様々な種が存在するコミュニティほど、病気がまん延するリスクが抑えられる。そんな調査報告が米コーネル大学出身のガイ・ベッカー氏を中心とする研究者たちによって発表された。

 

この調査の対象となったのは両生類だ。アマゾンの熱帯雨林に生息するカエルを対象に病気のまん延の観点から研究を行った。研究チームは、様々な種のカエルを用いて、多様度のレベルを変えて50以上の環境をつくった。それぞれの環境に存在させた水に両生類に致死的なダメージを与えているカエルツボカビ症の菌を散布。その結果、多様な種が存在する環境ほど病気になる確率が低かった。研究者たちはこのメカニズムを“dilution effect”と呼んでいる。

こうした結果が生まれた背景に、異なった種は異なった環境を選んで生息し、そのため別の種の個体との接触率が低いということがあるのではないかという。そのために病原菌の感染が少なかったと考えられる。また、カエルツボカビ症に弱い種が感染した場合、他の個体に直接接触すると感染させる傾向が高かったのに対して、強い種が感染させることは少なかった。

 

人間の手による森林破壊や汚染などによって、彼らの住む場所が奪われ、多様な生態系が失われることがある。生き残った一部の種ばかりが増え、同じ種の個体の接触の機会が増え、病原菌への感染や病気のまん延が起こりやすい。

 

自然な生態系を守ることが病原体のまん延を防ぐことにつながると研究者たちは訴えている。

 

Study proves biodiversity buffers disease

 

文 / EOL編集部

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