気候変動が子どもたちに与える脅威 オーストラリアの医師グループが訴え

“NO TIME FOR GAMES”


こんなタイトルのレポートをオーストラリアの医師グループが発表した。日本語に訳すと「遊んでいる暇はない」。気候変動が子どもたちの健康に与える影響を調査したレポートだ。


このレポートを発表したのは“ドクターズ・フォー・ザ・エンバイロメント・オーストラリア(DEA)”(環境のために活動するオーストラリアの医師たち)というグループ。12月に予定されるパリでの地球温暖化防止の国際会議に向けたアピールとして発表した。

このレポートによれば、気温が高くなると、子どもたちは胃腸病やぜん息などの病気にかかりやすくなる。それによって生命に危険がおよぶ可能性が高くなる。たとえばぜん息の場合、地球温暖化で花粉などのアレルゲンが増え、それをたくさん含む温かい風を吸い込むことが多くなる。その結果、小児ぜん息にかかる子どもが増え、ぜん息の発作の回数も増してしまうのだ。

あなたたちの生み出した毒物なんかいらないわ!そう書かれたパネルを持つ子どもたち。Photo by Takver CC BY-NC-SA 2.0
あなたたちの生み出した毒物なんかいらないわ!そう書かれたパネルを持つ子どもたち。Photo by Takver CC BY-NC-SA 2.0

気候変動が与える影響はそれだけではない。オーストラリアなどで頻発する草地の火災や洪水などは、精神的、身体的トラウマを子どもたちに残してしまう。また、デング熱のようにこれまでになかった熱帯性の伝染病のリスクも高まっていく。


オーストラリアの医師たちはこのレポートを通じて気候変動対策として4つの対策を提案している。


1、パリの気候変動会議において意欲的な目標を打ち出すこと。

2、早急なるクリーンエネルギーへの転換

3、気候変動を抑制することで可能になる地域の恩恵を具体化すること。(大気の浄化、より良くデザインされた町並み)

4、政府は気候変動の観点から健康や救急医療サービスの拡充を判断すべき。


自分たちの子どもたちの未来が劣悪になることを望む親はいない。いますぐ地球温暖化防止のアクションをとらないと手遅れになる。我々大人はそのことを肝に銘ずる時なのだ。

<参照リンク>
Report: No Time for Games: Children’s health and Climate Change


翻訳・文 / 編集部

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