等身大の歌で福島の魅力を全国に届ける

福島県人あるあるの一つが「県外に出て初めて、酪王カフェオレは福島にしか売っていないと気付く」。酪王乳業㈱(郡山市)の紙パックの酪王カフェオレは福島県内ではどこでも普通に売っているので、多くの福島県人は全国で売っているものだと思っているのだ。

そんな福島県人のソウルドリンク酪王カフェオレのCMソングを歌っているのがMANAMIさん。

 

高校生の頃からライブで多くのファンを集め、卒業と同時に上京しようという時に東日本大震災が発生した。それ以降、あちらこちらと迷いながら歌を辞めた時期もあったけれども、自分と向き合い、いま地元福島から歌を届けている。その等身大の歌に魅了される人が福島県内外で急増中だ。

MANAMI


福島県福島市出身在住のシンガーソングライター。
1992年6月2日生まれ。

ギター弾き語りのスタイルで16歳から音楽活動を始め、福島を拠点に県内外のライブハウス、ストリート等で精力的にライブ活動を行う。
キャッチーなメロディと等身大歌詞のオリジナル曲を中心に柔らかい歌声に乗せて音楽を届けている。
福島交通飯坂電車の公認応援ソング、酪王乳業酪王カフェオレ40周年テレビCMソング、県内のテレビ番組のエンディングテーマ曲を歌うほか、地元コミュニティ放送のラジオ番組でレギュラー番組を担当する等、様々に活動の場を広げている。

取材・文/大川原 通之

写真/黒須 一彦

酪王カフェオレのCMソングは、酪王乳業の担当者がMANAMIさんのMVをYoutubeで見てオファーをしてきたのだが、実は、身近な人たちから「酪王カフェオレの曲を作ってみたら」とすでに言われていたそうだ。そのため、「話があった時にこれはチャンスだと思って」、正式なオファーが来る前に曲が出来てしまい、先方に送ったところ気に入ってもらえたのが、現在福島県内で流れている酪王カフェオレ40周年CMソングだ。

 このきっかけとなったともいえるのが、福島駅と飯坂温泉を結ぶローカル鉄道の飯坂電車を歌った『Familiar Train』。身近な好きなものの一つとして特にオファーもないまま飯坂電車の曲をつくって歌っていたところ、ファンが飯坂電車を運営する福島交通㈱に連絡し、その後にタイアップすることになったという。

自分が好きなものをただ歌にしていたら、どんどん広がっているのだ。福島県内では「MANAMIさんは次は福島の何を歌うんだろう」と楽しみにしている人は多い。

高校卒業記念ワンマン前日に震災発生

中学生の時から音楽をやりたいと思っていたMANAMIさん。

赤ちゃんの時に別れたままのお父さんが歌が上手かったとは聞いてはいたものの、特別に音楽を学ぶということはなかったが、ある時、カラオケで初めて歌ったところ、聞いていた人たちが皆「上手い!」と、ざわざわっとなったことがあったという。

しかし、当時は周囲に音楽をやっている人はいなかったため、高校に入学して16歳から本格的に音楽をはじめた。

最初、MANAMIさんをボーカルに、ほかのメンバーは男という構成のバンドを組んでいたが、ある時ほかのメンバーから「オレたち男だけでバンドやりたいんだよね」と言われてクビに。それが悔しくてギターをはじめたという。

すごいのはそこから。ギターをはじめて一カ月くらいの全然弾けない時に、先にライブハウスでのライブを入れてしまう。

当時はカバー曲だがライブに合わせて練習して、1カ月で5~8本のライブをこなしたという。
誘われたライブにはすべて出て本数をこなして実績を積むことによって、いつしか「あの子いつもライブしているよね」というように名前を知られる存在になっていった。


オリジナル曲を作り始めたのは、そこから1年経った17歳の頃。歌手になりたいと思った時から書き溜めていた歌詞に、その時に思っていることを加えて初めてオリジナル曲をつくった。

「ただ、それが良い曲なのか分からないので、友だちに聞いてもらったら、泣いてしまうほど『とても良いよ』と言ってくれたりして、そこからオリジナル曲を増やしていきました」

 

その後、ヤマハ主催の音楽コンテストMusic Revolution福島地区大会では二度のグランプリ、オーディエンス賞を受賞するなど評価されることも増え、さまざまな場所で歌う機会も増えていく。

当時の目標は「とにかく有名になりたい」ということ。有名になって顔も知らないお父さんに会いたいという夢を持っていた。ところが、東京大会のタイミングで東京で1本ライブを組んでもらったところ、そのライブハウスでお父さんとはあっさり再会してしまう。「まだ有名になっていないのに(笑)」。

 

「そのころは、高校生ブランドだから賞を貰えていたようなところもあって。福島ではグランプリがもらえるけれど、次のステップにはなかなか行けない。地元では良くても外に出た時には自分はまだまだなんだなということに徐々に気づいて。その時に上京したいって思いました」

 

高校卒業のタイミングで卒業記念ワンマンライブを決め、ワンマン終了とともに上京することを計画した。ところが、ライブの前日に東日本大震災が発生する。

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