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地球温暖化を防ぐための取り組みは、未来の環境を守るだけでなく、「今を生きる人々の命」を救うことにも直結している。コロラド大学ボルダー校の研究者たちが発表した予備的なデータによると、もし世界中の国々が協力して温室効果ガスの排出を削減すれば、その副次的効果として、2050年までに世界で200万人以上の命が救われる可能性があることがわかった。これは、気候変動対策が、最も直接的で、そして人道的な健康対策であることを示している。
😷 大気汚染という静かな殺人者
私たちが普段見上げる都市の空を覆う「スモッグ」の主な原因は、二酸化窒素(NO2)や微小粒子状物質(PM2.5)、そしてオゾンなどの有害な大気汚染物質である。これらの物質は、非常に粒子が小さいため、肺の奥深くや血液の中にまで入り込んでしまい、心臓病、呼吸器疾患、喘息、そして若くして命を落とす早死にの原因となっている。
現在、世界中で毎年700万人以上が、この慢性的な大気汚染への曝露によって命を落としている。アメリカだけでも年間15万人に達するという、非常に深刻な問題である。
この大気汚染物質の主な発生源は、地球温暖化の原因となる温室効果ガスと同じである。すなわち、車や発電所、工場での化石燃料の燃焼である。そのため、温暖化対策を進めて化石燃料の使用を減らせば、必然的に有害な大気汚染物質の排出量も減らすことができるのだ。
📈 削減努力がもたらす驚くべき効果
研究チームは、世界のCO2排出量を削減する三つの異なるシナリオを設定し、2050年までに大気汚染による死亡者数がどう変化するかをシミュレーションした。
このシミュレーションで明らかになったのは、各国が協力して排出量を大幅に削減し、グリーン技術の開発に努める「低排出シナリオ」が実現した場合、世界全体で270万人の命が救われるという劇的な健康効果である。特に、中国では110万人、アメリカでは8万6千人の命が救われると予測されている。
これは、電動化の推進など、化石燃料からの転換に大きな進展を見せている国々ほど、その健康上の恩恵を大きく受けることを示している。逆に、もし世界が温暖化対策への協調的な取り組みを後退させれば、一部の国では大気汚染による死亡者数がさらに増加する可能性も示されている。
🌐 空気のつながりと国際協力の必要性
大気汚染は国境を越えて広がる性質を持っているため、この研究は、自国の排出削減努力が他国の健康にも影響を与えることを強調している。たとえば、アメリカが自国の排出量を削減することで救われる命のうち、一部は隣接する国々での汚染物質の減少による効果も含まれている。研究者は、「排出によるコストの多くは、排出地とは異なる場所で感じられている」と述べている。
私たちは、この地球上で「空気」を共有している共同体の一員である。大気汚染は肺を傷つけるだけでなく、農作物の収穫量や生態系にも悪影響を与え、社会のさまざまな部分に打撃を与える。私たちが目で見たり、肌で感じたりできなくても、空気で私たちは皆つながっている。だからこそ、気候変動対策は単なる環境保護ではなく、世界中の人々の健康と命を守るための最も効果的な手段であり、国際的な協調と行動が強く求められているのである。
<関連サイト>
Curbing climate change would also reduce harmful air pollutants, saving millions of lives
翻訳・文 / エコロジーオンライン編集部(AIを使用)









