省エネ型植物工場、被災地で始動!

無農薬、年間を通じて栽培できる、野菜の可食部が多いなど、水耕栽培のメリットは多い
無農薬、年間を通じて栽培できる、野菜の可食部が多いなど、水耕栽培のメリットは多い

 今年1月、津波被害の影響を受けた宮城県名取市で、水耕栽培による植物工場の建設がスタートした。工場の名は「なとりフードファクトリー」。仙台市宮城野区の被災農家3名が、環境コンサルティングを手がけるリサイクルワンと一緒に立ち上げた農業法人「さんいちファーム」が運営を行う。

 

 同工場の特徴の1つが、省エネ型の植物工場であるということ。水耕栽培では植物の根を水に浸して育てるが、水槽の下に輻射熱を発するパイプを巡らせることによって、根の部分だけを温度管理している。これにより、建物全体を暖房する通常のハウス栽培と比べて約4割の省エネを実現した。このほかにも自然光の活用や、被災地で発生した廃プラスチックごみを栽培用の架台へとリサイクルすることでコストを削減。初期投資や運営コストを低く抑えることで、大きな資金の調達が難しい被災農家を後押しする。

 

 初出荷は6月を予定。安心・安全な無農薬野菜が、年間を通じて安定供給が可能とあって、すでに大手外食チェーンなどへの納入も決定している。農業の再生に立ち上がろうとする農家の人々の先駆的な取り組み。復興野菜を扱う飲食店の利用などを通じて、積極的に応援したい。

 

文/加藤 聡

 

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