富士山の世界遺産登録で求められる環境保全の取り組み

Photo by headopen.
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 5月1日、文化庁はイコモス(国際記念物遺跡会議)から富士山の世界遺産一覧表への記載が適当との勧告があったことを明らかにした。6月の世界遺産委員会で、富士山を世界遺産として登録されるかが決定する。いまや世界中の人々から愛されている富士山だが、世界遺産となれば、その注目はさらに高まることだろう。

 

 しかし、喜んでばかりもいられない。もしも世界遺産登録が実現した場合、多くの問題が予想されているからだ。例えばゴミの問題。来訪者の数が増えれば、当然のことながら、ゴミの量が増えることは避けられない。また、交通量の増加によって発生する渋滞や大気汚染が、周辺環境に大きな影響を及ぼすのではと心配されている。

 

 これらの問題に対応すべく、富士山周辺の自治体ではさまざまな対策が考えられている。例えば、富士山への入山期間を短くしたり、入山費用を取ることで来訪者の増加を抑えようとする案などだ。どれもまだ検討段階であるが、7月の山開きに向け、1日も早い方針づくりや有効な計画づくりが求められている。今回の世界遺産登録への動きが、富士山・来訪者双方にとって好ましい環境づくりのきっかけとなってほしい。

 

文/田中一整

 

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