いま、日本の各地でマツが枯れる「松枯れ」が問題になっている。その主な原因はマツノザイセンチュウという体長1ミリにも満たない線虫だ。マツノマダラカミキリに運ばれて木に入り込み、枯死させる。
特に被害が深刻なのが、アカマツ林が広がる地域だ。松枯れを止めるために、農薬を空中からまく地域もある。しかし、使われるのがネオニコチノイド系の農薬ということが問題になっている。虫たちの中枢神経に反応して殺す農薬で、各地で起きているミツバチ大量死の原因とも考えられている。人間にも決して無害ではないと言われており、使用を禁止または規制している国が多い。しかし、日本では使用が認められており、農作物の害虫駆除や、家庭用殺虫剤、シロアリ駆除剤などで使われている。
一方、「林の手入れや間伐がされなくなり、病害虫への抵抗力が落ちたために松枯れが起きている」という説もある。そんな中で「更新伐」という方法を試みる地域も現れた。枯れたアカマツを含む大半の木を伐採して、生える木が異なる森林に変えていくものだ。アカマツ林で採れるマツタケをあきらめなくてはいけないが、林業に関われる人が少ないこともあり、注目を集めている。
文/岩間敏彦
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