11月17日、千葉県千葉市の観光農園・横田ファームで、一風変わった催しが行われた。農業と音楽とが融合したコラボレーションイベント「わをん 2013 -秋-」だ。
「若い人にもっと農業に触れてもらい、興味を持ってほしい」という想いから、2012年にスタートした同イベントは今回で3回目。普段は農作業で使われている倉庫やビニールハウスが、この日だけはステージに変わり、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文さん、坂本美雨さんら、14組のアーティストがライブを繰り広げた。またライブの合間には、イモ掘りなどの農業体験やトラクターの荷台に乗って農場内を探検するトラクタークルーズ、綿花を綿と種に分ける綿繰り、マイ箸つくりのワークショップなど、農場ならではのプログラムも楽しむことができる。
そして、「わをん」最大の魅力が、入場時のドリンクチャージならぬ「農チャージ」だ。入口で1000円を支払うことで、農場で採れた新鮮野菜を使った料理がすべて食べ放題となる。この日のメニューは、うどん、豚汁、野菜スープ、五目あんかけ丼、温野菜、焼きイモ&じゃがバターなど。秋の終わりにうれしい、あったか料理は、観客のお腹と心を満たしてくれた。
集う人と人、人と場所との「輪(わ)」。一つの体験をそれぞれの日常に循環する「環(わ)」。異なる価値観の人たちとの「話(わ)」。ゆっくりとした時間の流れの中で心を和ませる「和(わ)」。これらを繋ぎ合せる一つのきっかけとしての「音(おん)」。「わをん」という、少し変わったイベント名はこうしたアイデアから生まれた。実際、会場内には、農業とのつながりの少ない若者や家族連れの姿が多く見られた。音楽が人を集め、おいしい野菜と生産者に出会うことで、農業の魅力を味わうことができる。「わをん」は、新しい時代の収穫祭のカタチといえそうだ。
わをん
取材・文/加藤 聡
コメントをお書きください