
ジカウイルスはエボラ出血熱を越える脅威を世界にもたらす!
エボラ出血熱と言えばアフリカを中心に11,000人もの死者を出した感染症だ。それを超えると世界の専門家たちが指摘するジカウイルスは現在、アメリカ大陸を中心に爆発的に感染者を増やしている。
赤道付近の一部でしか発症が認められていなかったジカウイルスの拡大に手を貸したのが地球温暖化だ。この夏に予定されるリオ五輪にも大きな影響が出る。
ジカウイルスを媒介するのはネッタイシマカだ。この蚊はジカウイルス同様、黄熱、デング熱を媒介する。昨年、このジカウイルスが南米、中南米、カリブ海諸国に拡大した。その背景に地球の温暖化によってネッタイシマカの生息域が広がったことが指摘される。ネッタイシマカは熱帯の都市部を好む。なんと今年夏、オリンピックが予定されるリオデジャネイロもその感染域だ。
感染しても微熱、頭痛、関節痛などの軽い症状が出るだけのジカウイルスだが、昨年の流行と時を同じくしてブラジルで4,000例の小頭症の発症が認められた。現在、小頭症の大量発症とジカウイルスとの関係が疑われている。このジカウイルスに感染しても8割の人が発症しない。そのため、ウイルスの拡大を把握することが難しい。我が国の厚生労働省も妊娠した女性の感染域への渡航を自粛するよう呼びかけた。オリンピックが行われるブラジルとの行き来が増えることが予想されるからだ。残念ながら今のところワクチンも開発されてはいない。
地球温暖化が進むと日本でも熱帯性の感染症が増えると言われる。2014年夏に起きた代々木公園のデング熱騒動も記憶に新しい。あのときも蚊を駆除するためにかなりの殺虫剤が使われた。オリンピック会場となるブラジルでの蔓延を抑えるためにDDTなどの農薬が大量に散布される可能性もある。それがまた、自然の生態系のバランスを崩し、人間の健康被害となって戻ってくる可能性も否定できない。
人々が世界を飛び回るようになって一部地域の病気だっものがパンデミックに成長することが多くなった。地球温暖化がそれに追い打ちをかけるように問題の根を深くする。こうした現状を前に世界の人々が交流するオリンピックがいつまで平和の祭典でいられるのだろう。平和にオリンピックを続けていくためにも地球温暖化をどう制御するかを全世界で考えるべき時なのだ。
<参照リンク>
Zika virus could be
bigger global health threat than Ebola, say health experts
Zika virus: WHO 'concerned rather than alarmed' as investigations continue
ジカウイルス(wikipedia)
翻訳・文 / ソーシャルエコロジー研究所
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