2016年

6月

06日

気候変動の被害者たち(13) 気候の極端化が引き起こす食物汚染

穀物の代表選手、麦に危機が迫っている!(写真はイメージです)
穀物の代表選手、麦に危機が迫っている!(写真はイメージです)

地球温暖化による異常気象で農産物の生産に大きな影響が出ていることはこれまでもエコロジーオンラインで伝えて来た。だが、国連環境計画によって5月末に出されたレポートにはそれ以上のことが書かれている。気候変動がもたらす極端現象によって食物が有毒化するというのだ。

そのレポートは5月20日に国連環境計画によって発表された『UNEP FRONTIERS』だ。地球環境に関わる問題で今、注目しておくべきトピックを6つ選び、その対策方法も含めて解説した。

最初のトピックとして紹介されたのが「Crop toxicity(農作物の有毒性)」だ。異常気象によって有毒物質をつくり出し、それを食べる家畜や人間の健康に大きな影響を与える作物が紹介されている。

植物の三大栄養素として知られる窒素は、硝酸塩などの形で根から吸収され、成長を支えるアミノ酸やタンパク質に生まれ変わる。気候変動によって干ばつのような状態が続くと、この作業に支障が出て、硝酸塩のままで植物のカラダに蓄積されるようになる。人間が硝酸塩を多く含む食物をとり続けた場合、赤血球が酸素を運ぶ機能が阻害される。こうした症状はトウモロコシ、小麦、大麦、大豆、キビなどに出やすいという。

一方、干ばつから一転して大雨に見舞われた場合、シアン化水素(青酸)を生み出す植物もある。亜麻、トウモロコシ、ソルガム、サクランボ、リンゴなどがそれだ。ケニアでは2013年、大雨の後にキャッサバを食べて、その毒で二人の子どもがなくなった例もあるという。

ヨーロッパを襲うのは、発がん性を持つカビ毒・アフラトクシンだ。アフラトクシンが大きな問題となるのはおもにトウモロコシ。温暖化する高緯度地域に被害があるという。この問題はヨーロッパの食の安全保障を揺るがすことになるかもしれない。

植物は人間と違って、暑くなったからクーラーを使い、水がなくなったからペットボトルを購入しようとはしない。そのかわりに自分のカラダを変化させて対応する。人間が起こした気候変動で植物が変化し、その植物が食を通して人間を襲う。気候変動で駆逐されるのは地球ではなく、私たち人間でなのだ。だからこそ、気候変動を2℃未満に抑える取り組みを加速させねばならない。

<参照リンク>
Toxic Crops and Zoonotic Disease: UNEP Identifies the Emerging Environmental Issues of Our Time
Extreme weather increasing level of toxins in food, scientists warn

翻訳・文 / ソーシャルエコロジー研究所

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