いよいよ、藻の国際会議が始まりました!

 こんにちは。

 ロラン島にも、ようやく春がやってきました!

今朝は、氷点下まで冷え込みましたが、それでも日中は15℃前後まで気温が上がり、桜は満開。レンギョウやスイセンも黄色が美しく、庭がまぶしく感じるほどです。

 

 さて、いよいよ4月20日からロラン島では「風/海/藻 海上における藻の培養とバイオ燃料への活用を考える国際会議」が始まりました。会期は3日間、メディアへの公開は21日からで、私も参加予定ですので、そのレポートはもうしばらくお待ち頂くとして、今日は、なぜロランが海上で藻を栽培し、バイオ燃料として活用する未来にこだわっているのかについて解説しましょう。

 

 ロラン島というロケーションには、海上藻エネルギー施設として機能するために重要な要素が揃っています。その要素とは1)ロラン島は、持続可能、運搬可能、カーボンニュートラルな燃料の必要性を認識し、こうした燃料を生産するために投資を惜しまない、デンマークという国に位置する。2)ロラン島は、浅瀬で島周辺が比較的穏やかなバルト海に位置していることから、藻の収穫に適している。そして、3)ロラン島は、世界最大規模の海上風力発電パークが最初に作られた場所であるということ、の3つです。すでにある、もしくは現在建設中の規則正しく並んだ風車を利用すれば、藻をしっかりと囲っておくための水槽などインフラも整えやすいはずで、島での需要を大幅に上回るほど豊富な風力発電は、培養条件や収穫、さらに藻の生産にも有効利用できるはずです。

 

 世界で初めてとなる、海上における藻エネルギー調査研究所をロランCTF(Community Test Facilities/地域共同体実験施設)に設置すれば、世界中から研究科学者や企業、投資家の注目を集めることは必至です。そうなれば、科学者や技術者に、海上における藻エネルギーの可能性について現実的な条件のもと、大きなスケールで実験してもらうことが可能になるのです。これは、「エネルギーR&Dのメッカとなる」というロランCTFのヴィジョンにもマッチしているだけでなく、風車の本体と風力の両方を藻の栽培に有効利用することにもなります。日光と風力を使って藻を作れば、水を電気分解して水素を作ることと同じように、風力で作り出したエネルギーを蓄電できます。この場合、エネルギーはバイオマスとして蓄えられ、カーボンニュートラルなバイオ燃料に変えることが可能になります。

 

 こうしてみると、海上における藻の栽培、生育を経てバイオ燃料を作るということは、持続可能な未来へ向けとても有望な取り組みのように思えますが、果たして、どのくらい現実的で、実現可能なことなのか...その答えを導きだすための話し合いやワークショップが、今回の国際会議の目的なのです。

 

PROFILE

ニールセン 北村 朋子(にーるせんきたむらともこ)

デンマーク・ロラン島在住のライター、ジャーナリスト、コーディネーター。再生可能エネルギーの利用などの環境や食など、地球と人にうれしいライフスタイル追求がライフワーク。森の幼稚園の運営委員、ロラン市地域活性化委員、デンマーク・インターナショナル・プレスセンター・メディア代表メンバー。

 

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