温暖化が木の生長を早めている!?

 樹木の生長には何十年から数世紀の歳月が必要だ。アメリカ東部の森林での最新の研究結果は、その地域の木が現在、過去225年間より早く生長していることを示しているという。米国科学アカデミー紀要に紹介された今回の研究は、気候変動によって生態系がどのように変化するかを示す貴重なものだ。

 森林生態学者のジェフリー・パーカー氏は、20年以上にわたりメリーランド州のスミソニアン環境研究センターを拠点にしたさまざまな区画に生える混合広葉樹林55本の木の生長を記録している。その結果、最近の生長の速さは、年間平均でエーカー当り2トン、それまでの平均を上回ったという。これは一年間で直径2フィート(約61センチメートル)の木が生長するのに匹敵する。

 

 今回の研究では、生長を早めた原因の解明に重点を置いた。まず可能性のある原因をリストアップし、そのなかから可能性の無いものを消していく作業を行った結果、主な原因は気候変動関連に限定されたという。過去22年間で二酸化炭素量は12%増加し、気温は0.3℃上昇し、生長期は7.8日延長した。これら3つの要素が絡み合って木の生長を早めているという。

 

 気候変動の影響を予測する際、生態系がどのように反応するかが最もわかりにくいとされる分野だが、パーカー氏は今回の研究結果はアメリカ東部の広葉樹林と東海岸の多くの生態系を象徴していると確信している。

 

 陸上の炭素貯蓄の大半を占めているのは森林とその地面だが、森林のわずかな生長の変化が気候パターンや養分循環、生物多様性に影響を与える可能性があるという。ただ、これらがどのように影響を与えるかはまだわかっていない。

文:温野 まき 翻訳サポート:中野 よしえ

サイト

Science Daily

URL: http://ow.ly/3xPoA

 

«一つ前のページへ戻る