サンゴはお熱いのもお好き!? 熱への適応力は気候変動を生き残るカギ

将来、サンゴの白化現象はなくなる!? Photo by Derek Keats
将来、サンゴの白化現象はなくなる!? Photo by Derek Keats

 過去に熱のストレスに耐えたサンゴは、今後の海水温上昇でも生き延びる可能性が高いことが、太平洋で調査を行った科学者チームの研究でわかった。3月30日付の科学雑誌『PLoS ONE』に掲載された。気候変動に耐久性のあるサンゴがどこに分布するかを特定するなど、海洋の水温上昇の影響を考えるロードマップ策定に向けて重要な道筋を立てたといえそうだ。

 

「サンゴが生き残る確率の高い海洋環境のタイプを特定できるようになった。今回の新しいデータは、サンゴ礁の今後を予測し、社会がどのように対応するかを考えるうえでとても重要だ」と、カナダのブリティッシュ・コロンビア大学の准教授で、今回の研究の共同著者のサイモン・ドナー氏はいう。

 


 調査は赤道に近い太平洋上のキリバス共和国で行われた。キリバス周辺のサンゴ礁は、たびたびエルニーニョの熱攻撃にさらされる地域と、赤道から少し離れたエルニーニョの影響が少ない地域に分かれるため、今回の調査に適していたという。

 

 水温が高くなりすぎるとサンゴに寄生する微小な藻がサンゴから出ていく「サンゴ白化」と呼ばれるこの現象が起きる。サンゴに食料を提供し、色を与えている藻が出ていってしまうため、サンゴを死に至らせることもある。

 

 今世紀末までには海水温度は1~3℃上昇すると予測されるが、海水温がたびたび上昇する地域ではサンゴが耐久性をもって生き延びる可能性が高い。サンゴ礁は、嵐などから海岸線を守る堤防の役目を果たし、海の生物の重要な住処でもあるので、こうした地域に生息する魚で生計を立てている人々にとって、少しは朗報といえそうだ。

 

翻訳サポート/中野よしえ

文/温野まき

 

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