【イギリス発】 工場の排気CO2からバイオ燃料をつくる

Photo by Lloyd Alter
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 セメントをつくる過程で生じる二酸化炭素(CO2)は世界中から排出されるCO2の4%を占めるといわれる。バイオ燃料製造会社ポンド・バイオフューエルズ社(Pond Biofuels Inc、本社:カナダ・トロント)では、そのCO2で藻を栽培し、藻バイオ燃料にする取り組みを始めた。この試みが、温暖化の主原因とされ、各国が減少に勤めるCO2を再生可能エネルギーとして有効利用する手段となるか注目されている。

 

 セメント工場でCO2が発生する過程は2つある。1つは窯を熱するのに使用される燃料から。2つ目はカルシウムを化学反応で酸化カルシウムとCO2に変換する過程で発生し、どちらも大量のCO2を排出する。

 


 植物がCO2を好むことは広く知られているが、それを有効利用したのがポンド・バイオフューエルズ社の試みだ。イギリスのテムズ川近くにあるセント・メアリー・セメント工場の横に作業所を建て、テムズ川から採取した藻を工場の排気ガスで育成している。藻は生長過程で硫黄とCO2を吸収して、代わりに酸素を排出する。その後、藻は収穫されて脱水処理され、バイオ燃料となる。1トンの藻から生産されるバイオ燃料は100リットル。セント・メアリー・セメント工場では、その燃料を石炭の代替燃料として使用している。

 

 藻類は最も早く生長する有機体のひとつであり、体重の2倍のCO2を消費する。このことからも、藻の利用は非常に経済的で持続可能な炭素固定の方法といえる。

 

翻訳サポート/中野よしえ

文/温野まき

 

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