イギリスがシェールガスのフラッキング(水圧破砕法)を再開

Photo by By Darren Baldwin
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 イギリス政府はシェールガスを取り出すために、地震を引き起こす可能性やCO2排出量が高いと言われる「フラッキング(水圧破砕法)」の再開を決定した。同決定は、ジョージ・オズボーン財務大臣の打ち出した「ガスへの突進」計画の一環によるもの。

 

 フラッキングとは、水圧により人工的に地層に割れ目を作りガスを抽出する方法のこと。2011年春、イングランド北西部のブラックプール付近で、掘削作業が原因で小規模な地震が起きており、フラッキング作業は中断されていた。事業者のクアドリア・リソーシズ社は、この地震は同社のフラッキングが原因であることを認めている。

 

 財務大臣が北海地域のガス供給不足を埋め合わせるために、今回の政策が必要であるとの方針を打ち出したことで、さらに多くの場所で採掘が認可される可能性がある。地震や地下水汚染といった諸問題よりも、化石燃料への依存を永続させることの方が大事だと判断したわけだ。

 

 フラッキング再開の決定を受け、数百人の活動家は国会の外に集まり、長さ7メートルの模型の掘削装置を掲げてアピールした。彼らはデイビッド・キャメロン首相に送った手紙のなかで、水圧破砕法について、「環境汚染が否定できない、予測も規制も不可能なプロセス」と述べている。

 

 そうした一方で、今回のエネルギー政策の巧みな駆け引きは、持続可能なエネルギー政策を支持する側にとって、長期的には勝利につながるかもしれない。クリーンエネルギーに対する長期的な支持が確実になったことで、天然ガスやCO2排出量への疑問がぬぐえない現状では、投資家たちはその資金を確実な投資先に落とす可能性があるからだ。気候変動の影響を日増しに認識せざるを得ない状況が、この動きを加速するのではないかと期待されている。

 

翻訳サポート/中野よしえ

文/温野まき

 

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