【EOL里山部】 里山資本主義のお手本!地域のエネルギーは地域の木質ペレットで! ペレットマン!編

取材・撮影・文 吉田登志幸

「KWH=¥」村上敦氏著、「里山資本主義」藻谷浩介氏著と言った地域の資源は地域で循環させ持続可能な地域経済をつくりあげる必要性を説いた書籍が大いに注目されています。

この2大書籍が世に出されるもっと前からすでにそれを実践している方々にお会いしてきました。

一人目は山形県西置賜郡小国町の小国グリーンエナジー合同会社の高橋睦人さん。Facebookでは“ペレットマン!の愛称で日々の活動を精力的に発信されています。

5月12日にそのペレットマンに会いに小国入り。早速お話を聞きました。

そもそも、何故今の仕事をすることになったか?という、高橋さんの動機にこそ、いち早く地域エネルギー循環の必要性を唱えたことに重なってきます。前職ではガソリンスタンドの店長をやっていて当たり前のように給油をしにくるお客様に当たり前のように給油。石油会社から買ってきて薄利で販売。でも、このお金って外から買ってきて少しは会社に残るが、消費されて何も残らないなと。しかも、2008年にエネルギー高騰した時には灯油が1L140円を超えた。それでも、買って、販売しない事には運営できないので、いつも通り給油。

あるとき、高橋さんは“この外から買って消えていくお金”っていくらぐらいあるんだろうかと考えるようになり、調べたところ人口たった8500人の小国町の一般家庭の暖房用だけで年間3億円のお金が使われてしまっていると。(石油ストーブ1日7L使う計算で、これでも低い見積。)

これはイカン!ということで一念発起し会社を辞め同社を立ち上げたのです。

それが、今から7年前。そのころはペレットストーブの存在自体あまり知られておらず、その年のシーズン販売実績はナント1台。2年目は15台。これでは、なかなか仕事としては成立しません。その間他の仕事でしのいでいた2011年。3.11のこの年は50台。3.11はシーズン終盤と言うこともありブレイクまではいきませんでしたが、2012年に100!翌年には150台を達成しました。

わたしもこのペレットマンの活躍はFacebookで拝見していましたが、シーズン中、ほぼ毎日ストーブ設置をしているような印象で150台なら当然ですね。

因みに、今のペレットストーブの趨勢は日本で約5000台売れていてその内の1800台が翌日に見学に行った、さいかい産業さんのストーブでその驚異的シェアもさることながら、その中でもトップクラスにそのさいかいストーブを売っているのがこのペレットマン高橋さんなんです。

更に因みに、欧州では約40万台のペレット市場があり、その中でイタリアがダントツの生産国で更にその中でエディルカミン社だけでも7万台を生産していてこれまたダントツNO1シェア。

国産ペレットだけでなく、このエディルカミン社も展示して実際販売もしています。ペレットストーブの良さを知ってもらうためには色んな種類を見てもらいそれぞれの特性を知り、その中で一番気に入ったものを選択してもらう。もちろん、家をみて、その家に合ったストーブを提案するのは言うまでも無いと。

そして、次のステップとして取り組んだのが自社ペレット生産。ここにも高橋さんの現実を見て、その問題解決の最良の方法が伺えます。

知人の工務店から出る、木材端材はしっかり乾燥されたペレットにとっては最高の原料。これをわざわざ『灯油』を使って焼却していた。その灯油代年間100万円。この100万円を商品にすればCO2も出さないし、自社の利益にもなるし、もちろん、地域の森林管理にも役立つ!として工務店に提案。

それを受け入れ機械を購入し、年間約200tを生産が出来ます。これを販売することで地域で取れた杉(中心)を買い、地域に販売することで山にも生産会社にも販売会社にもお金が回るのでこれまで3億円ものお金がどこにも経由せずに消えていたのが地元の関係各位に確実に流れる仕組みが出来るのです。

ペレット原料は乾燥(含水率15%理想)が命なので、生木や乾燥していない原料は使えません。だからといって、重油やその他の化石燃料を使って乾燥させるのは本末転倒です。だから、高橋さんはそういうことをせず、このペレタイザーも乾燥機がついていない、最もシンプルなものを使います。

だから、工務店や製材所から出る乾燥した端材は貴重以外の何物でも無いんですね。

くどいようですが、これを灯油を使って燃やすことはモッタイナイ以外の何物でも無いわけです。

機械は補助金制度も有りますので、各県市町村に相談してよりよい方策を模索して欲しいですね。

つくられたペレットをトンバックに入れて、袋詰めは元牛舎を改良した近所の施設へ。ここで、10kg単位の袋に詰められて配達されます。

決められた単純作業なので福祉施設の雇用支援として生産すれば、更に貢献度が増しますね。

その後、類は友を呼ぶ?ご近所のこれまた、素晴らしい方、モミガラの燃料化に成功した元校長先生、小国地産エネルギー研究所株式会社菅さんです。

モミガラもリサイクル価値は他にもあるんだろうと思っていましたが、ケイ素分が95%と高く、分解しにくいことで、案外やっかいものなんです。これを農家から引取り燃料へ。

写真は自社でつくっているハウスにロケットストーブ方式であたためます。そして出てきた灰はケイ素が多いので逆に肥料としては素晴らしい成分とのことで、ここでも1石2鳥、3鳥の素晴らしい循環がありました。

比重1.4あり、かなり重たく密度もありますので火力や火持ちも十分ですね。これ1本で灯油0.4Lの能力があるので、やっかいもののモミガラを重油や灯油を使わずに燃料に出来て、更に灰もまけて言うこと無しですね。

モミガラを現場で集めてその場でつくればもっと効率的だとして、オリジナルの移動プラントもつくりました。これも山形県では補助金がつきますので、ご興味ある方は是非!

興奮のペレットレクチャーも終わり、待望の懇親会♪

地元の焼き鳥屋さんで1次会。このとき、高橋さんの取り組みを取材した番組が5分ほどオンエアされるので、ボクらやマスター、店にいたお客さんと一緒に見ました。出演している本人と一緒にその番組を見るなんてあまり経験できませんね^^

焼き鳥屋では終わらず、2次会は地元に飲める場所が少ない!ということで、高橋さんや仲間で一緒に手つくりしたバーへ。

会話を楽しんでいると次から次へと地元の人たちが集まって、貸切状態に。席も所属も関係なく入り乱れて、地域活性化の夢を語り合いました。

本当に楽しかったです^^

そして、翌日の新潟は第2部へ。

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