天然ガス発電だけで地球温暖化防止は不可能! 研究グループが発表

燃える化石燃料
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石炭火力発電にくらべCO2の排出が少ないことから、天然ガス発電が増えることは低炭素社会をつくるうえで有効な手段であると考えられてきた。

 

ところが、アメリカで行われた調査の結果、天然ガスを積極的に活用することが、石炭の利用を減らすだけでなく、再生可能エネルギーの技術開発も遅らせることもわかったきたのだ。

この研究を手がけたのは、カリフォルニア大学アーバイン校のクリスティン・シェアラーさんらのグループ。彼女たちの調査によれば、地球温暖化を防止する政策がなければ、天然ガスの利用が増えるとともに、全体のエネルギー消費が増える。天然ガス利用の過程でメタンが1.5%程度漏れ出すことを考慮すると、石炭を積極的に天然ガスに代替しても2013年~55年の間にわずか2%程度のCO2削減効果しか得られない。

 

この研究によってわかったことは、国によって前向きな温暖化防止対策が導入されなければ、エネルギー分野におけるCO2の削減は前に進まないということだった。温室効果ガスの排出に制限をかけるか、再生可能エネルギーの普及を推進しなければ、天然ガス発電が増えても再生可能エネルギーの技術開発を遅らせ、社会の低炭素化の進展の足を引っ張ることになる。

 

日本国内に目を転ずると、2016年の電力の自由化を想定して、石炭火力発電の建設が増えている。電力の自由化をきっかけにCO2の排出が多い石炭火力が増えることは天然ガス導入以前の問題。国際的な批判を受ける可能性もある。

 

国連気候変動サミットでも各国政府に責任ある態度をとることが求められた。いかにCO2を減らし再生可能エネルギー普及を誘導するか。政府の積極的な姿勢が求められている。

 

<参照>

The effect of natural gas supply on US renewable energy and CO2 emissions

 

文 / EOL編集部

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