
地球が温暖化すると南極の氷床や高地の氷河が解けて海に流れ込む。それとともに気温の上昇で水が膨張して海水面の上昇が起こることが知られている。
だが、カリフォルニア大学アーバイン校とNASAの共同研究によって、その上昇を2割ほど減らす効果を果たしているものがあることがわかった。そんなありがたい役割を果たしているのが私たちの足元から支える大地そのものだった。
これまでの温暖化の研究で地球上の水循環に関して大地が果たす役割について研究されたことはなかった。2002年に打ち上げられた新しいNASAの衛星がその研究を可能にした。その衛星からの観測を分析することで、大地の役割を見極め、数量化することにつながった。
元々、温められて水蒸気となり、雨として地表に降り注いだ水は地下水の流れとなり、くみ上げられて農業用水や工業用水、飲み水として使われる。そして最後に海に帰って行く。そうした水の循環については知られていたのだが、ここ10年についてはくみ上げられる量よりも吸収する量が増え、スポンジのような働きをしていることがわかったきた。土壌や地下や湖に貯めこまれた量は3.2兆トン。五大湖の一つ、ヒューロン湖の貯水量(世界7位)に匹敵するという。
この大地の働きによって海水面の上昇を2割ほど遅らせることができる。海水面の上昇によって国や地域が消失する可能性がある島嶼国にとっては朗報だろう。だが、これによって海水面の上昇が抑えられるわけではない。これまでに知り得なかった成果を手にすることで、温暖化の抑制策や適応策を精緻に組み立てられるようにはなる。だが、行動しないことには温暖化は止まらない。こうして大地が助けてくれているうちに、本格的な対策を組み立てるべきことに変わりはない。
<参照リンク>
Decade of rising seas slowed by land soaking up extra water, UCI and NASA find
翻訳・文 / ソーシャルエコロジー研究所
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