2016年

5月

26日

自然観察の達人になろう 見つめてみよう、クモの世界

見つめてみよう、クモの世界

 

姿が気味悪いなどといわれ、何かと嫌われることの多いクモ。でも、その不思議な体のしくみや、工夫にとんだ生活のようすなどがわかるとなかなかおもしろい生き物です。クモは、北極と南極以外のほとんどの地方に住んでおり、まだ知られていないこともたくさんあります。観察を続けると、誰も知らない新しい発見ができるかもしれませんよ。

ユニークな体つき

 

クモは昆虫の一種と思われがちですが、昆虫が6本の足と3つの部分に分かれた体、複眼などを持つのに対し、クモの体は、頭と胸がくっついた頭胸部と腹部の2つの部分からなっており、足は8本、目は単眼でふつう8個ついています。また、昆虫の触角の代わりに、触肢(しょくし)といって、前足と触角のような働きをするつのが頭にあります。もちろん羽はありません。昆虫に比べると、その体つきもだいぶ違いますね。

 

糸を自在にあやつる魔術師

 

歩く時の道しるべにしたり、えものをつかまえるあみを作ったり、えものをしばったり…と、クモほど生活のあらゆる場面で糸を使いこなす動物はいないでしょう。その秘密は、おしりにある6個の「糸イボ」。それぞれが何百本というとても細い管を持っており、そこから糸のもとになるねばねばの液(粘液=ねんえき)を出します。この粘液が管を通って空気にふれると糸になるというわけ。だから、1本に見える糸も、実は何百本もの細い糸の集まり。ナイロン糸と同じくらいじょうぶなのです。

 

いろいろあるよ、狩りのスタイル

 

クモはみんな“クモの巣”を作ってえものがかかるのを待っていると思っていませんか? 実は、日本にいる約1,000種類のクモの約半分は、あみをはらないクモ。木や草の上を歩きまわり、えものを自分で探して飛びかかるのです。また、カニグモやハナグモのように、花の中でハチやアブなどを待ちぶせするものや、キムラグモやトタテグモのように地中にトンネルをほってかくれ、虫が歩いてくるのをじっと待ってつかまえるクモなども…。ハンティングのやり方もいろいろあるんですね。

 

クモの巣ができるまで

丸いあみ型の巣を作るオニグモを例に、巣ができるまでを見てみましょう。

どうやってえものをつかまえるの?

 

クモにはとても強力な武器があります。それは、上あごについている鋭いキバとそのキバから出る毒液です。この毒液を注射されると、巣にかかったハチやガ、バッタなどのえものは、全身がまひしてたちまち動けなくなります。クモは消化液でもあるこの毒液を少しずつ注射しながら体の中をとかしてしまい、その汁を吸うというわけ。ただし、虫にとってはおそろしい毒ですが、ごく一部の毒グモを除いて人間には害はありません。

 

集団生活をする子グモたち

 

秋になると、多くのクモが産卵の時期をむかえます。でも、子グモの誕生の時期は、種類によってまちまち。秋にふ化して仲間と寄りそいながら冬を越すものもいれば、卵を包むじょうぶなふくろの中で春を待つものもいます。誕生してしばらくは子グモだけで集団生活を行うものが多く、中には、母親の背中に乗って一緒に過ごすコモリグモのような種類もいます。小さくて弱い生まれたばかりの子グモは、お互い協力しながら生活するのです。

 

羽がないのに空を飛ぶ!?

 

クモには、昆虫が持っているような羽がありません。でも、糸を利用して空を飛ぶことがあります。夏をむかえるころ、集団生活を終えたコモリグモやジョロウグモなど多くの子グモたちは、おしりから細い糸を出して風にただよわせ、その糸にぶら下がって四方八方へ飛び、新しい住みかを求めて移動するのです。行き先はまったくの風まかせ。そこで独立した生活を始めます。おだやかな風のある天気の良い日が空中旅行日より。子グモだけでなく、体の小さな親グモも空中飛行をすることがあります。

クモは生きた農薬?!

たとえば、水田などに住むクモは、巣をはらずにえものを探しまわるものが多く、害虫退治にひと役かっています。中には、空中飛行をして周辺の畑に飛んでいき、野菜を食べる害虫を退治するクモもいます。でも、農薬がたくさん使われるようになると、農薬に弱いクモが死に、逆に農薬に強い害虫が増えてしまうこともあるとか。そのほか、ゴキブリをつかまえるアシダカグモやハエをとらえるハエトリグモなど、かげで人間の役に立っているクモもいろいろいるのです。


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