2016年

5月

26日

自然観察の達人になろう ガとチョウの秘密にせまる

ガとチョウの秘密にせまる

 

花のミツを求めてやってくる色とりどりのチョウはきれいだけど、夜になって街灯に集まってくるくすんだ色のガはこわいなんていう人も少なくないでしょう。でも、日本に住むチョウが約260種類なのに比べて、ガは何と5,000種類もいるとか。今回は、身近で舞っているチョウとガを観察してみましょう。

どこが違うの? チョウとガ

 

チョウとガを見分けるコツは、触角に注目することです。チョウの触角は先たんにはっきりとしたふくらみがあります。また、チョウが昼間に飛びまわるのに対して、ガの活動時間はたいてい夜。だから、ガは昼間、木で休んでいる時に目立たないような色をしているのです。その上、夜は体をあたためてくれる太陽の光がないので、ガの体は少し毛深くて太めなのです。

一生の間に、大変身

 

チョウやガの一生は、卵、幼虫、さなぎ、成虫とドラマチックに変わります。卵は、幼虫のえさになる植物の上に産みつけられ、ふ化するとひたすらえさの葉っぱを食べ続けながらどんどん成長し、2~3週間で体重が100~1,000倍以上にもなります。こうして4~5回脱皮した幼虫は、やがて動かなくなってさなぎになります。さなぎの中では、それまでの器官がドロドロに溶けて、足、羽、触角などが作り直され、やがて羽化して成虫になるのです。

 

春のチョウと夏のチョウは違う?!

 

春から秋まで長い間見られるモンシロチョウやアゲハ。そのわけは、春に成虫になったチョウが卵を産み、その卵が1~2ヵ月後には成虫になってまた卵を産むという世代交代をくりかえすからです。モンシロチョウの場合は1年に5~6世代、アゲハは3~4世代が産まれます。秋に産まれた卵は、幼虫からさなぎになり、そのまま冬を越して翌年の春に羽化します。このような冬越しの成虫は「春型」と呼ばれ、他の時期のもの(夏型)に比べると小さ目で、羽のもようも少し違います。

人間にはないすぐれた感覚

 

チョウやガには人間のような鼻はありませんが、頭からのびた2本の触角で、時には2~3kmも向こうのにおいまでキャッチする能力があるといわれます。また、足の先には葉の味がわかる細胞があり、その葉っぱが幼虫のえさになることを確かめてから卵を産みつけます。さらに、大きな複眼は、どの方向でも見えるだけでなく、人間には見えない紫外線が見え、オスとメスを見分けたり、ミツのある花を探し当てたりすることができます。

 

リン粉(ぷん)の役割

 

チョウやガをつかまえようとして、指に粉がついたことはありませんか。この小さな粉が「リン粉」。顕微鏡で見ると、1つ1つのリン粉は花びらのような形をしており、これが魚のうろこのように重なり合って羽のもようをつくっているのです。リン粉は、うすい羽に重さと強さを加えて飛びやすくします。また、リン粉には脂肪が含まれているため、水をはじき、羽がぬれるのを防いでもくれます。リン粉ははばたくたびに飛び散るので、だんだん羽のもようはあせていくのです。

 

羽の模様にせまる

 

目玉みたいな模様も多くのチョウの羽には黒色の模様があります。これは、チョウが筋肉をあたためてウォーミングアップしてからでないと飛べないので、黒い色で太陽の熱を早く吸収するためです。また、カラフルな色で天敵に毒を持っているように見せるチョウや、木の葉にそっくりな羽を持つコノハチョウのようにまわりの環境に溶けこんで目立たなくなるチョウ、目玉のような模様で敵を驚かせてそのすきに逃げるチョウなど、羽のデザインはチョウが生きていくためにいろいろ役立っています。

 

チョウを育ててみる

 

キャベツのしんやダイコンの頭を水につけて葉がのびたものをベランダに置いておくと、モンシロチョウが卵を産みにくることがあります。パセリやニンジンならキアゲハ、ミカンやユズの枝ならアゲハがくるかも。もし、卵を見つけたら、プラスチックなどの飼育箱に移して飼ってみましょう。大きくなるにつれてビックリするほどたくさん葉っぱを食べますから、えさをたやさないように。スケッチしたり写真をとったりした後、成虫になったら逃がしてあげましょう。

消えていく身近なチョウ

 

20~30年前頃から、開発や環境汚染などの影響により、日本各地で昔からいたチョウが少しずつ姿を消し始めています。たとえば、本州各地にいたギフチョウは、雑木林に生えるカンアオイという植物でしか幼虫が育たないため、雑木林の減少とともに数を減らしています。その他にも、日本の国チョウであるオオムラサキなども「まぼろしのチョウ」になりつつあります。今まであった自然がなくなると、そこに住んでいた虫たちも生きられなくなるのですね。


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