#02 エコロジーソングス <Paul McCartney / Junk>

Paul McCartney / McCartney (1970)
Paul McCartney / McCartney (1970)

ビートルズ解散直前にリリースされたポールのファーストアルバムからの1曲。

 

解散後ポールは「My Love」を皮切りに甘いラブソングの量産にひた走っていくことになるのだが、この曲はポールには比較的珍しい、物に対する親愛ソングともいうべきものだ。

ポール・マッカートニーといえば天才的メロディメイカーであったり、ジョン・レノンをも凌ぐ新しもの好きというイメージがままあるが、このファーストアルバム「マッカートニー」だけはそのイメージを投げ捨てているように聞こえる。

ビートルズが音を立てて壊れていく現実から逃避したかったゆえなのか、ポールの関心のベクトルは未来どころか過去へ向いていたのではないかというほど、あえてプロデュースを拒んだような宅録のガシャガシャした音がアルバムの大部分を占めている。

 

 

その中にひっそりと佇む美しい「Junk」という曲の歌詞にはある仕掛けが施されている。

 

"さよなら さよなら とショーウインドーの看板が言う

 どうして どうして と庭のガラクタが問いかける"

 

という訳と

 

"買ってください 買ってください とショーウインドーの看板が言う

 どうして どうして と庭のガラクタが問いかける"

 

という訳。("Buy"と"Bye"は発音がほぼ同じなので2つの解釈が存在するのだ)

 

リリース時にビートルズ脱退を宣言することを考えれば、ポールはビートルズ時代の思い出(ガラクタ)へ、ささやかな別れの意味を込めたのかもしれない。

しかしポールの作詞能力を思えば、「どうして買ってくださいなんて言うんだ。(どうせ捨てられるのに)」という大量消費社会への皮肉とも受け取れるように捻りを加えたのではないだろうか。

 

農場に引きこもってもなお、天才は天才だったのだ。

 

文 / 上岡 ケン

www.eco-online.org Blog Feed

【ATENOTE×ジェイク・シマブクロ】「同じゴールを目指す」インタビュー記事が公開されました! (火, 04 11月 2025)
>> 続きを読む

霧島酒造×スターバックスがSDGsで連携!「KIRISHIMA GREENSHIP icoia」で生まれるサステナブルな憩い (Sat, 01 Nov 2025)
>> 続きを読む

関西学院大学 新月祭(学園祭)レポート (Sat, 01 Nov 2025)
>> 続きを読む

「食卓の一皿」が地球の生命を左右する!生物多様性危機と食の選択 (Sat, 01 Nov 2025)
>> 続きを読む

気候変動が奪う「土壌の多機能性」 地下の生態系は今? (Fri, 31 Oct 2025)
>> 続きを読む

日本で!世界で!里山で!メディアで!2025年の活動報告と来年の展望 (Thu, 30 Oct 2025)
>> 続きを読む

ベランダ発電をもっと楽しく!エコロジーオンライン25周年を記念して2チャネル同時測定可能な直流電力計が新登場! (Tue, 28 Oct 2025)
>> 続きを読む

【ATENOTE】後藤正文・能登材ダイアログ③-EVERTONE (Tue, 28 Oct 2025)
>> 続きを読む

【ATENOTE×斉藤和義】「木には壮大なロマンがある」インタビュー記事が公開されました! (Tue, 28 Oct 2025)
>> 続きを読む

【11/27】企業×NPO連携を考える座談会 (Mon, 27 Oct 2025)
>> 続きを読む

«一つ前のページへ戻る