インクルーシブ通信
エコロジーオンライン理事長の上岡です。実は私、2024年、3月から5月まで大学病院に入院していました。その後、退院しましたが、「失語症」という後遺症が残りました。インクルーシブ(誰も取り残さない包括的なこと)な活動がエコロジーオンラインに不可欠。姉の上岡陽江が関わっている「当事者研究」が、自分にも当てはまる活動となりそうです。
2024年は体調が思わしくない状態が続いていました。後の検査で判明したのですが、その時にはもう感染性心内膜炎という病気が進行していたようです。症状としては細菌の塊が心臓弁に付着し、それによって体のあちらこちらに菌の破片が散らばり、結果として脳梗塞や脳内出血、くも膜下出血などの脳の病が併発する事態となりました。
元々、心臓に僧帽弁逸脱という病を抱えていました。昔であればこの病気は心臓に異常が起きていることが分からず、知らず知らずのうちに生涯を終える人もいたようです。自分は10年ほど前にその病気と診断され、何かあった場合は手術も必要になるかもしれないという話は聞いていました。
幸いにも心臓弁の手術を無事に終えることができたのですが、その際に脳に障害が残りました。発症したのは、高次脳機能障害と言われるものの一つである失語症でした。これまで講演やラジオで喋ったり、人に何かを伝えること、例えば気候変動や環境問題を伝える仕事が主だったのですが、それが出来なくなってしまったのです。
しかし昨年(2024年)、自分が住んでいる栃木県佐野市が気温41・0度を観測。これはなんと2024年の国内観測で1位となる記録でした。気候変動がいよいよ身近に迫ってきていることを強く感じています。
「多くの人にこの問題を知ってもらわなければ」と思い、普段からお付き合いのあるFM栃木さんや宇都宮大学の気候変動問題に取り組んでいる先生方と一緒にキャンペーンを実施し、啓発活動を行っていく予定です。
今年はバングラデシュの貧しいコミュニティで教育を受けている子どもたちに明かりを届けようということで、全国の皆さんと再生可能エネルギーの取り組みを応援しようと思っています。
今回の経験を通じて自分自身が障害を持つ立場になったことで、「インクルーシブ」という概念が自分にとっても非常に重要なものになると感じています。
言葉をうまく使えないことで苦しむ人たちが、職場や家庭で重要なことを伝えられないという苦しみを抱えていることも知りました。そのような人々が暮らしやすい「インクルーシブ」な社会を作ることも、エコロジーオンラインの今後の取り組みに大きな影響を与えると考えています。
姉のネットワークとも協働し、言葉のリハビリのためにも多くの方々とつながりを持ち、さらに広い意味でのSDGsを実践していきたいと思います。
活動報告
2025年
9月
11日
木
失語症の仕事復帰に生成AIの活用を進めています。
25年続けてきたエコロジーオンラインに本格的なAIを活用し始めて1年。生成AIの進化もあって様々な展開が見えてきました。今回はGemini Storybookを活用して脳卒中〜失語症を暮らしを絵本にしてみました。
https://gemini.google.com/share/95a8500ea1ea
エコロジーオンラインでは、早い段階からネット会議を多用して来ましたが、最近の議事録はAIがまとめています。失語症がある代表が辿々しい言葉を使っても、全く問題なくまとめることができています。外出先でのミーティングはスマホで録音しておいて、オフィスに戻ってからAIにまとめてもらいます。
元々、英語が得意だったこともあって、世界の環境ニュースを翻訳して記事として来ました。それが大きく変わり、最近はどのニュースをとり上げるかを決めるまでやって、あとはAIが翻訳・編集をしてくれています。しかもこれまでは新聞などで紹介されたものが中心でしたが、外国の論文をそのまままとめることもできるようになりました。プレゼン資料をつくることもやり始めています。
高次脳機能障害や失語症でワーキングメモリーが枯渇しがちの脳内環境ですから、生成AIの登場によって様々な効果、効能が出て来つつあります。
この体験を糧に失語症の方のQOLの改善のために「暮らしのAI研究〜よりそうあなたのAIさん〜」という事業を始めることにしました。日々、進化するAIをインクーシブに活用していきましょう。どうぞよろしくお願いします。
上岡裕
2025年
9月
06日
土
失語症の当事者としての活動がはじまりました!
エコロジーオンライン理事長の上岡です。
失語症の回復の障がいとなるのが電話通話です。
相手が目の前にいないので物事を伝えることに難がある。自分も臆して電話を取らない日々が続きましたが、エコロジーオンライン活動で電話に出ることが必要になりました。
突然電話を掛けてくださる方もいらっしゃって、不器用ながら出てみると意外に喋れる事に気づきました。日々のネット会議の賜物です。
また、高次脳機能障がいの人たちの事業サポートも始まりました。
失語症の当事者として発信をする機会が多くなり、失語症、脳梗塞、高次脳機能障がいなどの情報も集まってくるようになりました。
今週末、失語症を克服した脚本家石原由理さんが手がれる朗読群像劇があるそうです。いろいろな学びがありそうですね!
2025年
8月
25日
月
脳卒中サバイバーの皆さんが集う「片麻痺さんぽ会』参加しました。
まだまだ酷暑が続く北関東ですが、8月24日、茨城県笠間市にある地域交流センターともべ「Tomoa」で「第28回片麻痺さんぽ会in友部」というイベントが催されました。
この会の主催者は坂さんご夫妻。エコロジーオンラインにも生成AIでつくった可愛いアニメを提供してくれている脳卒中サバイバーの仲間です。
この会は脳卒中を経験したサバイバーを中心に、ご家族や医療従事者などが自由に交流する会です。普段は環境問題やSDGsなどの専門家として活動している自分ですが脳卒中については初心者。様々な経験をしてきた皆さんのお話を聞いて励ましてもらうばかりでした。
最初は右も左もわからないどん底の状態からのスタートで、途方に暮れることが人が多い。そんな人たちが「ひとりじゃないよ」と受け入れてもらえることは何にも増す喜び。こうした当事者グループの存在がしっかりと社会を支えていることを知って心が温まりました。
皆さま、ありがとうございました。
エコロジーオンライン理事長 上岡裕
2025年
7月
31日
木
失語症支援と共創の新たなステージへ 〜自然、テクノロジー、当事者の力で創るインクルーシブな社会〜
NPO法人エコロジーオンラインはこのたび、「失語症支援」と「当事者による価値創出」を軸とした新たな社会参加促進プロジェクトを始動いたします。
これまで、環境啓発と地域をオンラインで結びつける活動の先駆者として実績を築いてきた上岡理事長は、この経験と視点を、言葉による困難を抱える方々の「語る力」「創る力」の発揮に向けて応用します。
この取り組みは、SDGsに掲げられた「誰ひとり取り残さない社会」の実現にも深く関わるものであり、デジタル・自然・当事者性という3つの軸を融合させる革新的な試みです。
<理事長の上岡裕より>
2024年春、感染性心内膜炎により入院し、心臓手術を受けました。その影響で脳卒中の後遺症が残り、現在は失語症と向き合いながら生活しています。言葉で伝えることを仕事にしてきた自分にとって、この変化は大きな試練でした。同時に、話すことに困難を抱える多くの人の思いや苦しみに共感できるようになり、「インクルーシブ(誰一人取り残さない)」な社会づくりの重要性を強く感じています。姉の上岡陽江が東京大学と手がける「当事者研究」との連携を深めながら、多様な立場の人々と共に、より広い意味でのSDGsを実践していきたいと思っています。
2025年
7月
26日
土
今日から新たなるミッション!失語症でも大丈夫
7月13日 自分の失語症についてAIを活用して回復を図る道を模索して来ましたが、今日会った坂さんは失語症ではありませんが、すでにAIを巧みに活用をして社会復帰されている先輩でした。失語症に関する生きづらさを改善する取り組みについても、何とかめどが立って来ました。これも皆さまのサポートのおかげです。ありがとうございます😊
7月12日 茨城の坂さんご夫妻をお迎えして里山ミーティングをしました。脳の障害を抱えたボクらですが地域を超えてAIを有効活用することで新しい価値を創造する事が可能ではないか。そんなことを考えるネットワークをつくりはじめようと思ってます。興味がある方は声をかけてくださいね。どうぞよろしくお願いします。
7月10日 失語症ですが生成AIの力を借りてエコロジーオンラインの記事が書けるようになりました。これから障害を持った仲間といろいろ連帯していこうと思ってます。
7月9日 とちぎの仲間たちと番組後の一枚。東京中心の活動(いや、海外もあるか。。。)のエコロジーオンラインですが、やっぱりとちぎの仲間は愛おしい。明日も宇都宮大学のボランティアさんの取材です。失語症も取り組みもどうぞよろしくお願いします。
「みんながけっぷちラジオ」×「NPOエコロジーオンライン」上岡裕」
7月8日 今日から新たなるミッション!失語症でも大丈夫👌な社会づくりに向かって走って行きます。プレスリリースも出しましたが、失語症の当事者としてどんどんお話ししていきます。夜は宇都宮に行って学生さんがパーソナリティを務めるFM番組で気候変動のお話をしてきます。
2025年
7月
23日
水
生成AIで脳卒中後の仕事ネットワークをつくろう!
水戸の坂さんご夫妻とのプロジェクトが進んで来ました。
脳卒中後のボクらは生成AIを活用することで、今まで以上の仕事をしようと思っています。また障害を持った仲間ともコミュニティをつくっていくことも検討中です。
それにしても坂さんがつくってくれたワオキツネザル、可愛いね。
皆さんもAIの講座に興味があれば是非!
2025年
6月
26日
木
女性ダルクを訪問してきました
事務局の七生美です。
姉の上岡陽江が代表を務めるダルク女性ハウスを久しぶりに訪問してきました。
一時期、ゴスペルを歌うお手伝いに行っていたので、スタッフの皆さんとも「お久しぶりです〜」と挨拶しつつ、改めて女性ダルクのお話を聞いてきました。
30名ほどが登録している女性ダルク。
日々の活動で行われているミーティングでは、暴力や薬物など様々な事情を抱えた女性たちが語り合います。
基本的に「言いっぱなし」「聴きっぱなし」で、非難や批判をせず、お互いの経験を分かち合い、また、その場で話されたことは、他の場所で話すことは禁じられているそうです。
緊張感のある人生から少しずつ「自分がいてもいい居場所、リラックスできる場所」になっていく。
自分や子どもに何かあった時、どうしようもない状態になった時にはスタッフが駆けつけてくれるという信頼関係が、さらに安心感を与えてくれています。
「子育てサポートBOOK」という、ダルク女性ハウスが2018年にまとめた冊子をいただきました。
頼る人がいない孤立した状態で赤ちゃんを育てることは容易ではありません。
私は幸い母など頼れる家族がいたからどうにか育てられましたが、それでも赤ちゃんと2人きりになると、どう扱ったらいいかドキドキした記憶があります。
可愛らしいイラストの冊子ですが、中身はかなり心に響く体験談が多く、全ての人に読んで欲しい内容です。
どこかで見かけたらどうぞご覧ください。
子どもを育てることはとても大変なことです。国や自治体にはもう少しがんばって母親に(父親にも)寄り添った、安心して子どもを育てられる体制を整えていただきたいと切に願います。
2025年
4月
03日
木
4月25日は失語症の日!全国各地で開催されます。
4月25日は「失語症の日」
2020年、失語症支援に関わる言語聴覚士・団体、当事者団体による失語症の日制定委員会が「4月25日 失語症の日」を記念日に登録。毎年、4月25日前後の週末に、全国的にイベントを開催し、今年で通算6回目の開催となるそうです。
これまで家でのリハビリの生活でしたが、失語症に悩む皆さんと交流して来ようと思います。楽しみにしています。






















