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小さな奇跡の見つけ方 パリ協定とSDGsをつなぐ道

石を割る仕事をするマダガスカルの子どもたちにも教育の機会を与えたい。
石を割る仕事をするマダガスカルの子どもたちにも教育の機会を与えたい。

ドイツのボンで開催されていた第23回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP23)が閉幕しました。

今回の会議は2020年から始まるパリ協定の実施ルールを決めるもので、残念ながら最終的な合意には至りませんでしたが、産業革命前にくらべて気温上昇を2度未満、できれば1.5度に抑える目標を目指し、活発な議論が行われました。そのなかで悪い意味で目立ったのがパリ協定を離脱したアメリカと石炭火力を止められない日本でした。NGOの批判の矢面に立たされたことは言うまでもありません。

国の基本であるエネルギー政策はそう簡単には変えられません。原発を中心にCO2の排出削減を考えてきた日本にとって再稼働が進まないのは大きな障害です。安定したエネルギーを求めて石炭に舵を切る業界の気持ちもわからないでもありません。

しかし、地球の危機を目の前にして世界の国々が結束して立ち向かおうとしている船に乗らないのでは次の時代を動かすルールづくりからは外されてしまいます。我が国の未来のためにも脱石炭を明確にするエネルギー政策に転換すべき時です。

市民としてできることは何だろう。

後ろ向きな日本政府の対応を見ていると、欲求不満が貯まります。しかし、政府だけが地球温暖化防止を担うわけではありません。

パリ協定が決まった2年ほど前、ケニアへの自然エネルギー機器の寄付を検討していた僕らは国連環境計画の方と出会います。その結果、ケニアに本部のある国連環境計画のスタッフが立ち上げに関わった孤児たちの施設に支援を決めました。

その支援に関わってくれた国連スタッフがこんなことを教えてくれました。

「今年はパリ協定と持続可能な開発目標(以下SDGs)という2つの大きな国際的な枠組みが決まりました。アフリカなどでもこの2つがつながって動いていくことになります。貧困に苦しむ地域には電気のインフラがありません。自然エネルギーでつくれるエネルギーはインフラを必要としませんから、貧困対策にも有効なはずです」

パリ協定とSDGsをつなぐ道

この連載で何度かお話をして来ましたが、SDGsは2015年9月の国連サミットで決まった「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された2016年から2030年までの国際目標です。持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の誰一人として取り残さないことを誓っています。そういう意味でSDGsは発展途上国に止まらず、先進国の社会課題も視野に入れたものになっています。(外務省のホームページより抜粋)

その目標のうち、7番目に掲げられたのが“エネルギーをみんなに そしてクリーンに”です。エコロジーオンラインの17年の活動は市民の手によるクリーンエネルギーの開発や、被災地での小さな自然エネルギーの活用を支援することがメインでした。SDGsのど真ん中を歩いてきたと言えると思います。

マダガスカル事業にトヨタ自動車の環境助成が!

この国連環境計画の人たちとの出会いがきっかけとなり、途上国での小さな自然エネルギーの普及を視野に動き始め、里山エネルギーという会社をつくりました。その取り組みに興味を持った方たちに声をかけられて始めたのがマダガスカルでの自然エネルギー支援事業です。

マダガスカルでは日々の調理に活用する薪や炭を得るため、森林の過度な伐採につながり、破壊が進みました。現地には日本の里山や人工林で行われているような持続可能な森林経営は存在しません。そのため、人口が集中する地域では見渡すかぎりのはげ山となってしまいました。

そんな地でエコロジーオンラインが手がけるのは廃棄されたモミガラやオガクズ、牛糞などを資源としたエネルギーの開発です。貧しい地域に里山エネルギースクールという学校をつくり、森林を破壊しないエコなエネルギーづくりを指導します。

捨てられたごみをエネルギー商品に変えることができれば貧しい人たちに仕事を生み出せます。こうして自然にやさしいエネルギーをつくることが途上国の貧困対策につながり、パリ協定とSDGsがボトムラインでつながります。

現在、この取り組みを一緒に手がけてくれる企業を幅広く募集しています。ご興味がある方はぜひエコロジーオンライオンのウェブサイトをご訪問ください。市民としてやれることから一歩ずつ!よろしくお願いします。

文 / 上岡裕(協力:日本住宅新聞

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