【シンガポール発】環境関連事業で世界の中心を目指す!

シンガポールの都市風景 *写真はイメージです
シンガポールの都市風景 *写真はイメージです

 シンガポールは近年、環境関連事業を国の経済発展の柱に据えている。クリーン技術への投資や開発、教育、カーボン市場において世界の中心となるべく、政府が税金緩和策などを用意し、世界中からの投資を次々に受け入れている。

 

 ノルウェーのRenewable Energy Corp.(REC)社は太陽光発電関連の商品を製作する世界でも有数の企業。同社がシンガポールに18.5億ドルかけて建設中の工場は今年後半に完成予定だ。太陽光発電用のウェーハや蓄電池、パネルを製作する世界最大級の工場となり、世界のカーボン市場の中心になることが期待される。

 

 「アジアはこれから環境技術商品とソリューションの巨大市場になるだろう。我々はシンガポールがそのマーケットに確実に食い込めるよう努力している」と言うのは、シンガポールの経済開発委員会のクリーン・テクノロジー主任のGoh Chee Kiong氏。

 

 さまざまな企業を誘致するために、シンガポールでは2007年から税金緩和策や政府の補助を整えただけでなく、工業団地に広い敷地も用意した。投資環境も海外企業には魅力のひとつで、REC役員は「良く整備された投資環境、透明性、そしてクリーン・テクノロジーに強い関心があることに好感がもてる」と評価する。

 

 シンガポール政府は、研究開発にも力を注いでいて、7億ドルを投入する予定。博士過程取得のために200の奨学金制度を設け、熟練した技術者の育成にも力を入れている。太陽エネルギー研究所を設立し、エネルギー効率のよいビルや廃棄物処理場、電気自動車などの開発から試験、商品化までをする。

 

 Goh氏は言う、「次の段階は、シンガポールの都市生活そのものを実験場にすること。何でも最初に採用する国になり、デモンストレーションが行え、実験をする場所になるというのが我々のもくろみだ。それが重要なセールスポイントになるだろう」

 

 一党独裁で、人口500万人以下という国の特殊性もあるが、アジア、そして世界におけるクリーン・テクノロジー開発と市場の拠点を目指す同国の政策は、益々注目されそうだ。

 

文:温野 まき 翻訳サポート:中野 よしえ

 

サイト

The New York Times

URL: http://ow.ly/3xdU3 

 

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