【リビア発】BP社による油田掘削で古代遺跡が危機!

 現在、観光客のみに開かれているリビアの貴重な古代遺跡は、観光産業が軌道に乗り始める前に困難に陥るかもしれない。
 考古学者によれば、今年度末中にリビアのシドラ湾に油井(ゆせい)を建設するBP社の計画によって、紀元前7世紀の都市とその時代の歴史的難破船が危機に直面する恐れがあるという。

 リビアのシドラ湾は、今年、BP社による最悪の原油流出事故が起きたメキシコ湾よりも200メートル深い。インディペンデント紙によると、似たような流出が、海抜マイナス5メートルに位置するアポロニアの港町や2つの世界文化遺産の現場であるトリポリタニア地域も脅かしかねないという。

 

 フランス南部にある古代アルル博物館館長であり、リビアへのフランス考古学使節団の理事でもあるClaude Sintes氏は、リビアの沖に沈んでいる、何万隻ものローマ時代の難破船に触れて、「それらは大変重要であり、とてももろいものだ。石は透過性なので原油の汚染を取り除くのはとても難しい」とイギリスの新聞社に伝えた。

さらに、イタリアの上院環境委員会の議長Antonio D'Alliは、「これは、BP社とリビアの問題ではない。海は境界線がないため、事故が起きたときには海地中海全体に影響する」と語った。

 また、リビアは深海の掘削の危険を監視する経験が乏しいうえに、原油流出に対策を持っていない国であることも問題となっている。

 

 BP社はメキシコ湾流出の再調査をし、細心の注意を払って作業を進めると言ったが、関係者を納得させる状況にはいたっていない。

 

 保護条約が結ばれたとしても、開発で得られる富とはかりにかけられれば、条約は無効になってしまう可能性もあり、古代遺跡の危機に解決の糸口は見えない。

 

文:温野 まき 翻訳サポート:河合 美佳

 

 

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