西アフリカで食糧危機が深刻化

*写真はイメージです
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西アフリカでは、8月下旬に起こった集中豪雨と鉄砲水が原因で食料不足が悪化し、1000万人以上が苦しんでいると、国連の救済機関が伝えた。すでに、長年の干ばつにより、飢饉の危機に瀕していたところに、今回の洪水で作物や家畜を失い、事態は深刻だと専門家らは警告している。

 さらに、この夏のロシアの猛暑による干ばつなどで、穀物価格が世界的に高騰していて、そのことがアフリカの食料危機をさらに悪化させている。「食料が必要な人々にとって、輸入食料は今でも高過ぎて手が出ないが、現在の不安定な世界市場を見ると、今後も価格は上昇しそうだ」と"クリスチャン・エイド"の職員、Cristina Ruizさんは言う。

 

 状況がもっとも悪いのは、内陸のニジェールで、救済組織の"Feed the Children"によると40万人もの子どもが飢餓、もしくは栄養失調による病気により、瀕死の状態だという。国の食料備蓄が尽きてしまい、雑草をゆでて食べている人もいる、との報告もある。そして、最近起こった鉄砲水により、さらに20万人の人々が家を失った。

 

 8月初め、国際援助の不足から、国連の食料プログラムは、ニジェールで2歳以上の子どものいる家庭への食料援助を一時停止せざるを得なくなった。「これらの人々は、来年の10月の収穫まで、自力で生き延びるすべを考えるしかない。緊急事態です」というのは、国連担当のGianluca Ferrara氏。

 

 サハラ砂漠の南側に位置する、半乾燥帯のサヘルでは、干ばつが続くことは歴史上珍しくないという。しかし、今世紀に入ってからの長期の干ばつは、雨に頼る農作物生産を実質的に不可能にしていることから、科学者や地元の専門家は数千万人の生活が永久的に危機にさらされる可能性があると忠告している。

 

文:温野 まき 翻訳サポート:中野 よしえ

サイト

The New York Times

URL: http://ow.ly/3wKiz

 

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