電池市場で攻勢に出るパナソニック

高容量リチウムイオン電池「NCR18650A」
高容量リチウムイオン電池「NCR18650A」

 パナソニックの電池事業の動きがめまぐるしい。

 

 12月18日、パナソニックは、業界最高容量となる3.1Ahのリチウムイオン電池「NCR18650A」の量産開始を発表。翌週の25日には、まだ開発段階ではあるものの、3.4Ahと4.0Ahのリチウムイオン電池と、モバイル用の燃料電池システムを公開した。

リチウムイオン電池モジュール(18650サイズの電池が並ぶ様子がわかる)
リチウムイオン電池モジュール(18650サイズの電池が並ぶ様子がわかる)

 このリチウムイオン電池は、直径18mm、高さ65mmの円筒型で「18650サイズ」と呼ばれており、数本を接続することで、ノートパソコンなどのバッテリーとして使われている。これまでの製品は2.9Ahが最高だったが、新製品では3.1Ahを実現。さらに容量を増やした3.4Ahの電池は2011年度、4.0Ah電池は2012年度での量産化を目指すという。電池一本あたりの容量が増えることにより、バッテリースペースの小型化や長時間の駆動が可能となる。

 

 パナソニックでは、18650サイズのリチウムイオン電池140本を多直列および多並列接続する電池モジュールを開発中だ。これが実用化すれば、太陽光発電や燃料電池の蓄電システムとして、さらには電気自動車用バッテリーまでを、モバイル用の電池でカバーできるようになるという。

直接メタノール型燃料電池システム(20W)
直接メタノール型燃料電池システム(20W)

 もうひとつは、こちらもノートパソコンなどの電源として使える出力20Wの直接メタノール型燃料電池(Direct Methanol Fuel Cell、以下DMFC)システム。燃料となるメタノール水溶液を補填することで発電を行う。DMFC は、手軽さと長時間駆動が可能なことから、次世代のモバイル用電源として期待されている。今後は、100WクラスのDMFCを開発し、先述のリチウムイオン電池モジュールと組み合わせた屋外電源の実用化を目指すという。

 

 パナソニックが電池市場で攻勢をかける背景の一つが、三洋電機の子会社化だ。パナホームに三洋製のHIT太陽電池、パナソニック製のエネファームを設置し、発電した電気をリチウムイオン電池に蓄え、その電気で同社の省エネ家電を使う――。太陽電池という武器を手に入れたことで、トータルエナジーソリューション企業への進化を目指すパナソニック。だがこの状況に、ライバル他社も黙ってはいないはず。今後も群雄割拠の電池市場から目が離せない。

 

文:加藤 聡

サイト

パナソニック

URL: http://panasonic.co.jp/

 

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