【アメリカ発】 学生が清涼飲料からエタノールを製造

Photo by Joelk75
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 アメリカが清涼飲料で溢れている国なのはみんなが知るところだが、その清涼飲料を使ってバイオ燃料のエタノールを作ったのはオクラホマ州の学生達。安価で再生可能なエタノール燃料を生産するヒントになるかもしれない。

 

 タイミングもぴったりだ。米国環境省がつい最近、温室効果ガス排気削減のために、さらに多くの自家用車や軽トラックにエタノールを含む混合ガソリンを使用すべきだと発表したばかり。さらに、ファースト・レディーのミシェル・オバマも砂糖分の多い食品や飲料の過剰摂取を減らすキャンペーンを展開中だ。

 

 研究の目的はもともと、エタノール・ガソリンを作ることではなく、“ゴミ”処理だったという。全米には約500の炭酸飲料製造業者が毎分2000本のソーダを製造している。ちょっとした流通の不具合が膨大な量の清涼飲料“ゴミ”となる。通常、清涼飲料1本当たりティースプーン10杯の砂糖を含んでいることを考慮すると、その“ゴミ”をエタノールにするのは理に叶っているといえよう。

 

 基本的な行程はいたってシンプルだ。学生達はペプシ、コーク、スプライト、マウンテンデューをサンプルに使用し、それらに一般的な蒸留用イーストと栄養分を加える。微生物が食べた砂糖の残りかすは急速に発酵し、7日後には立派なエタノール成分が出来上がる。唯一の問題は、清涼飲料の中に含まれる保存料の安息香酸ナトリウムが発酵を妨げることだが、pHを調整することでこの問題は解決できるという。

 

 バイオ燃料の問題点はコストが石油燃料と比較して高いことだったが、エタノール工場が2つの役割、つまりエタノール製造とゴミ処理をこなすことでこの問題は解決できるかもしれない。現在、炭酸飲料製造業者がゴミ処理に代金を支払っていることを考えると、ゴミ処理費をエタノール製造に充てられる可能性があるからだ。

 

 エタノール製造に関しては、他にも、フロリダでオレンジピールからエタノールを製造できないか研究中。ニュージーランドでは鉄工所の排気ガスからエタノールを製造する試みが成功している。

 

 とはいえ、そもそも、大量の飲料ゴミや排気ガスを出さないようにする仕組みが先決とも思える。

 

文:温野まき

翻訳サポート:中野よしえ

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