使い方次第で大きく変わるソーシャルメディアでのネットワーク構築

Facebookはみんなでほめあって気持ちが悪い─。

 

正月明け、Twitterを眺めていると、こんな意味のつぶやきを発見しました。最近IT企業では、上司が近況を投稿すると、先を争って「いいね!」ボタンを押す傾向が強いらしく、ひょっとしてこの人はそうした使われ方に違和感を感じたのかもしれません。

 

「人」を中心にしたコミュニケーションを得意とするFacebookは、同様のことが起きやすいメディアだと思います。IT企業に勤めていなくても、地域の団体に所属している人の投稿に、多くの「いいね!」や「コメント」がつくことをよく見かけます。そうした人の投稿にちょっと近寄れないな〜と感じることもありますよね。

 

リアルな会社や団体の力関係をそのままソーシャルメディアに持ち込んでしまうと、新しい人が参加しづらい環境をつくってしまう。こうしたことは地域通貨などのクローズなネットワークによく見られることです。不思議なことですが、ネットワークがしっかりとすると、逆に新しい人が入りづらくなるというジレンマが生まれるのです。経験上、オープンなネットワークをつくろうと思った場合、ある程度の緩さを確保した方が、成功するような気もします。

 

あなたはTwitter疲れを経験したことは?

 

その点、多数の人の思いが行き交うTwitterは、Facebookにくらべてオープンで、エキサイティングです。実際に会ったことがない人たちがアグレッシブに議論していることもなども見かけ、これまでになかったようなコミュニケーションのパイプが日々生まれていきます。

 

東日本大震災に連動して起きた福島の原発事故後、放射能汚染や脱原発、再生可能エネルギーを巡って、いまだに熱い議論が続いています。その議論が、エコロジーオンラインのTwitterにも飛び火し、地球温暖化防止についての投稿をしただけで、「まだそんなことを信じているの?と」いったRTをされて対応に困ったこともありました。

 

僕らの仲間のなかには、こうしたアドレナリン満載の情報に疲れてしまって、Twitterを見るのも嫌だという人も出てきています。Twitterは大手メディアが扱いづらい情報を紹介するツールですから、うまく付き合えば有効活用できるのですが、鉄火場のような情報環境について行けない人もいるのです。

 

エコロジーオンラインというNPOを運営してきて、エコに前向きな人でも、アグレッシブに社会を変えたいと願う人、自分の生活から地道にやろうと考える人、いろいろなタイプの人がいることがわかりました。前者のタイプは自分らが何も手伝わなくても積極的に動く人たちです。おそらくTwitterなども有効活用できる。一方で後者のような人たちは、地域や家族の現実と向き合って、小さなところから変えていきたいタイプ。そんなに強く情報発信はしないけれど、なかなか目にすることのない貴重な情報を投稿をしてくれます。

 

小さな声にいかに耳を傾けられるか

 

ソーシャルメディアは多くの人が思い思いの発言をして、良い部分を評価しあい、足らない部分を付け足して、よりよきものに変える力もあります。地域では孤立していても、ソーシャルメディアでつながった全国の人に応援してもらって、がんばる勇気を得る人もいます。

 

Twitterにも、Facebookにも、その使い方に応じて、社会をよくする力が存在します。いかにこのツールをつかって社会をよき方向に変化させていけるのかを、それぞれに合った方向で考えていくのが良さそうです。

 

自分が運営するエコロジーオンラインや、ソーシャルエコロジー研究所の仲間は、先ほどのタイプ分けで言えば、後者の方が多くいそうです。そのため、自分自身は、小さな声にいかに耳を傾けられるかという観点から、このソーシャルメディアを使っていけたらいいなと思っています。

 

みなさんはどんな風にソーシャルメディアと付き合っていますか?

 

ご意見をお聞かせくださいませ。

 

文:上岡 裕

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