『奇跡のリンゴ』が実るリンゴ園

 6月8日に公開以来ロングラン上映している映画『奇跡のリンゴ』は、絶対に不可能と言われたリンゴの無農薬栽培に挑戦した実在の農家、青森県弘前市に住む木村秋則さんの半生を描いた映画だ。

 

 木村さんのリンゴ園では、肥料も農薬も使わないのに、いまでも毎年リンゴの木がたくさんの実をつけている。7月某日、同リンゴ園で行われた見学会では、訪れた人たちが、収穫の秋を目指してたくさんの小さな実をつけるリンゴの木を実際に見ることができて感激の様子だった。

 

「リンゴが実らなかった頃、1メートルの枝に100匹以上いたシャクトリムシやハマキムシが、いまは1匹もいません。天敵がいることで、特定の虫が大発生しない環境が保たれるようになったからだと思います」と木村さん。弘前大学農学生命学部の杉山修一教授等の調査研究では、木村さんのリンゴの木は、葉っぱに病気が発生しても病気の部分を自分で枯らして落とすことで病気を広げないようにする“治す力”があることもわかってきた。

 

 山の木々が元気に育つ土や環境にヒントを得たという木村さん。このリンゴ園では、雑草も虫も小動物も、リンゴ木といっしょに仲良く生きている。

 

文/温野まき

 

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