2016年

1月

15日

気候変動の被害者たち③ 世界の発電所に迫る水危機

ヨーロッパの大気汚染ランク11位に入ったポーランドの火力発電所 CC BY-NC 2.0 by Ville Tanskanen
ヨーロッパの大気汚染ランク11位に入ったポーランドの火力発電所 CC BY-NC 2.0 by Ville Tanskanen

 気候変動で地球上の水の循環に大きな影響が出始めている。

なかにはかつてない水不足に陥る地域もあれば、大雨に見舞われる地域もある。日本国内でも冬に降る雪が少なくなった。そうすると必然的に山から流れ出す川の水量が減少する。川を流れる水量が減少すれば水力発電の発電量も減少する。

地球温暖化が進むとこんな具合に水力発電の発電量が減少する。ただ、どのように気候が変わっていくかは地域によってばらつきがある。すべての地域が水力発電の電力が減るわけでもない。

今回、気候変動がどのように世界の発電所に影響を与えるかを調べた結果が発表された。それによると、水力発電だけでなく火力発電や原子力発電も大きな影響を受けるという。

 

なぜ、気候の変化が火力発電や原子力発電に影響を与えるのか。その発電方法に大きな関係がある。火力と原子力は熱をつくるエネルギー源が違う。だが、水を沸騰させて蒸気でタービンを回して発電することにかわりはない。そのために常に水が必要だ。そしてその水を冷やすために大量の水が必要になる。

大量に使われる水の温度が上がったらどうなるだろう。当然、水を冷やす効率が悪くなる。効率が悪くなれば発電量に大きな影響が出るという理屈だ。

1月4日に「nature」に発表された研究によれば世界の2/3の発電所が気候変動による水循環の変化のため能力どおりの発電が難しくなるという。2050年代までに水量の減少と水温の上昇によって火力、原子力、バイオマスは毎月30%、水力発電は3.6%発電量が減る可能性がある。水力については2080年代にはその倍になるらしい。それぞれの発電所の効率をあげ、水を使わずに冷却することも視野に入れるべきなのだという。

今後ますます途上国のエネルギーの需要は高まっていく。再生可能エネルギーは不安定だという声も多く聞かれるが、水蒸気でタービンを回す発電方法も同じように不安定さを抱えていることがわかった。太陽光や風車など、水に依存しないエネルギーの安定性をあげるとともに、省エネでエネルギー消費全体を減らす努力も待ったなしだ。

<参照リンク>
Power Plants Threatened as Global Warming Affects Water Supplies
Power-generation system vulnerability and adaptation to changes in climate and water resources

翻訳・文 / ソーシャルエコロジー研究所

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