
アフリカで密猟されるゾウやサイの被害が後を絶たない。
その地域の武装勢力が武器を手に入れるお金欲しさに密猟を繰りかえす。そのために年間25,000頭のゾウが犠牲になっているとも言われる。
犠牲になっているのは動物だけではない。昨年、密猟者たちによって殺害されたレンジャーは107人。相手が武装しているために密猟対策にも大きな危険がともなう。
武装した密猟者たちによって、ゾウやサイは絶滅してしまうかもしれない。しかし、それを止めるのも命がけだ。
そんな事態に対して立ち上がった男がいた。アメリカ海兵隊を退役した軍人ライアン・テートだ。9.11後、愛国心に駆られた多くの若者たちがアメリカ軍に入隊した。彼もその一人だった。中東地域で戦った勇者であるはずの彼らだが、退役後の当たり前の暮らしに慣れず、仕事に就くことができないものも多い。
そんな彼らの力をアフリカで行われている密猟を防ぐために使ったらどうだろう、そう考えたのがライアンだった。そうすればアフリカの動物と退役軍人たちの暮らしの両方を守ることにもつながる。
彼らは今後、自分たちの兵役体験を生かして、アフリカのレンジャーたちへ密猟者対策を指導し、逮捕した武装グループメンバーの社会復帰や農業などによる雇用確保に着手するという。
日本でも地震や津波で被災した地域に自衛隊が送り込まれたくさんの人の命を救ってきた。こうしてアメリカ兵たちが軍を離れ、紛争地域にある自然を守り、紛争の原因の一つとなる貧困をなくす活動を始めた。
人を命を奪う軍隊から、人や自然の命を守る軍隊へ。彼らの活動がどう成長していくのか。楽しみでならない。
<参照リンク>
VETERANS EMPOWERED TO PROTECT AFRICAN WILDLIFE
翻訳・文 / ソーシャルエコロジー研究所
南アフリカのパークレンジャーに密猟対策の講義をするVETPAWの退役軍人たち。
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