
家や家具の材料となる太い木を育てるため、まわりの木を間引いてしっかりと木が成長する空間をつくる。それが「間伐」という作業だ。その作業によって生まれた木材が「間伐材」。間伐材は幹が細いために加工しづらい。そのため、お金に変わりづらく、森のなかで眠ってしまうことが多かった。
その間伐材を活用することで話題なのが固定価格買取制度で全国に広がったバイオマス発電所。そのまま燃やして電気に変えるバイオマス発電の場合は幹が細くても大丈夫。うまく組むことができれば日本の森は元気になるだろう。だが、もっと身近で、もっと効率よく使える場がある。それが公衆浴場だ。
日本の公衆浴場では元々、地域で生まれる木材などが燃やされ、地域住民のカラダを温めるために使われてきた。それが近年、燃料の調達を安定化させ、コンパクトな浴場経営が行うために、重油や天然ガスに変わっていった。そのために燃料にコストがかかるようになり、経営が圧迫されるようになったという。

化石燃料の大量消費によって生じた地球温暖化を考えると、このまま化石燃料を燃やし続けるのはよくないのではないか。
そう考える公衆浴場の経営者たちも出てきた。9月28日、そうした経営者たちが全国から集まって「バイオマス銭湯シンポジウム」が開催された。エコロジーオンラインが事務局を手がけるForest Goodにも声がかかり、石川県で開催されたシンポジウムに参加することとなった。
シンポジウムに参加して感心したのだが、公衆浴場はお湯をつくるのに脱化石の主力である太陽熱や木材を活用できる。そうして生まれた熱を効率的にリサイクルすれば省エネにつながる。地球温暖化防止というテーマがぴったりとあてはまるのだ。また、ヒノキ風呂に代表されるように、木材を活用した癒しを提供する場でもある、コミュニティスペースに吸湿性の高い木をつかった製品も導入しやすい。自然に人が集まる場だから、エコロジーや木材の啓発活動もしやすい。
外風呂が多かった時代から内風呂が当たり前になり、難しい経営を迫られる公衆浴場ではあるが、小さな家の風呂ではできないことも多い。たとえば、地域が被災した場合の水の提供であったり、お湯の提供だ。すでに防災の取り組みで実績のある公衆浴場が、再生可能エネルギーや省エネを手がければ被災時のエネルギーの供給もできるだろう。さらに心強いのは地産地消のエネルギーに詳しい専門かたちがいるということだ。
彼らの取り組みはエコロジーオンラインが呼びかける里山エネルギーの世界観とも合致する。Forest Goodの取り組みを中心に、地球にも、地域にも、森にもやさしい経営を模索する公衆浴場の取り組みを、エコロジーオンラインでも応援していきたいと思う。
文 / エコロジーオンライン理事長 上岡 裕

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松永日出男 (月曜日, 30 10月 2017 10:31)
ありがとう御座います�
これからもよろしくお願います。