小さな奇跡の見つけ方 パリ協定成立から始まる脱化石文明の胎動

パリ協定合意から10か月。いよいよ発効! Yann Caradec CC BY-SA 2.0
パリ協定合意から10か月。いよいよ発効! Yann Caradec CC BY-SA 2.0

昨年末、パリで実施された地球温暖化防止の国際会議で締結されたパリ協定。気候変動枠組条約に加盟する196カ国すべてが参加する初めての国際的枠組みです。

そのパリ協定成立以降、世界中で盛んに叫ばれているスローガンがあります。それが“FOSSIL FREE”。脱化石燃料を達成しようという合言葉です。

全米10都市がクリーンエネルギー100%を宣言!

パリ協定の成立には国際的に活動するNGOが大きな役割を発揮しました。その動きはパリ協定後も衰えることを知りません。

“FOSSIL FREE”な未来づくりを掲げ、エネルギーを100%クリーンエネルギーに変えようと呼びかけているのがReady for 100% Campaign(レディ・フォー・ワンハンドレッド・キャンペーン)です。

彼らは2030年までに全米の都市を再生可能エネルギー100%へ移行させる運動を手がけています。

サンフランシスコやサンディエゴ、ソルトレークシティなど、すでに全米で10を超える都市がその主旨に賛同し、クリーンエネルギーへの完全移行を宣言しています。

コロラド州ボルダー市はその自治体の一つ。スザンヌ・ジョーンズ市長が9月、2030年までに同市が100%自然エネルギーを採用することを約束すると発表。風力発電や太陽光発電などのクリーンな再生可能エネルギーを採用することを約束したアメリカの17番目の都市となり、州内ではアスペンに続き、100%クリーンエネルギーをする公約を掲げた2番目の都市となりました。

「ボルダーは2050年までに温室効果ガス排出量の80%削減を達成する戦略の一環として、2030年までにクリーンエネルギー100%を達成することにチャレンジをします。気候変動はまさに私たちの時代の課題であり、人々の生き方を根本的に変えてしまう恐れがあるのです」と市長は語ります。

すでにアメリカにクリーンエネルギー100%を宣言した都市が17もあることも驚きですが、国の対応を待たずに自らが行動に移す勇気ある自治体が生まれてきていることには希望を感じます。日本の自治体でこうした国際的な動きと連動する都市が生まれる日も近いかもしれません。

プラスチックでも進む脱化石燃料

地球温暖化にも深く関わりますが、海洋に流出して生態系の破壊を引き起こして問題となっているプラスチック。これも化石燃料から生まれたものです。

そんなプラスチック問題に立ち向かおうとグローバルに活動する100以上NGOが集ってBreak Free From Plastic(ブレーク・フリー・フロム・プラスチック)というキャンペーンを始めました。

彼らは世界の市民とネットワークを組んで、脱プラスチック文明をつくろうと世界に呼びかけ始めました。

その活動が始まるのとほぼ同時にフランス政府が2020年までにプラスチックの使い捨て食器の販売を禁止することを決めました。7月に実施したレジ袋の廃止に続くプラスチックゴミの削減政策です。

フランス政府が対象にしたのはアウトドアやイベントの際などによく使われるスプーン、フォーク、カップ、皿などのプラスチック食器でした。これらの食器の販売を禁止し、その代わりに生分解性で地域のコンポスト施設でリサイクルできる食器の販売を認めるそうです。

京都議定書を決めた後の日本も世界の環境活動をリードしようと地球温暖化防止の国民運動など様々な事業にチャレンジしました。昨年末にパリ協定を決めたフランスだからこそ、ここまで踏み込んだ政策を実現しつつあると言えるでしょう。

ただ、こうした政策は必ず痛みをともないます。プラスチック食器を生産する産業での雇用の喪失や、使い捨て食器を使う貧しい家庭の支出が増加するのではないかという批判も出てきました。今後、裁判に発展しそうな雲行きですが、そうしたカオスの状態を越えて化石文明から脱化石文明への移行が進んでいくのだと思います。

これまで急拡大する再生可能エネルギーのニュースなどは世界中で報じられてきました。パリ協定以降、そのうねりが確実に力を増し、エネルギーに止まらない脱化石の流れにつながってきました。

そこに共通するのはNGOネットワークの台頭です。市民が中心になって本格的に世界を変え始めました。僕らも負けてはいられません。がんばらねば!

文 / 上岡裕

(協力:日本住宅新聞)

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