2017年

1月

04日

小さな奇跡の見つけ方 スマートコミュニティは地域を変える?

昨年末、ラスベガス市が再エネによるまちづくりを宣言。スマートコミュニティが世界に増えています。CC BY-NC-ND 2.0 Jason Mrachina
昨年末、ラスベガス市が再エネによるまちづくりを宣言。スマートコミュニティが世界に増えています。CC BY-NC-ND 2.0 Jason Mrachina

11月22日、和歌山県御坊市で「スマートコミュニティが切り開く地方の未来」と題する講演会を開きました。和歌山県印南町で計画されるスマートコミュニティプロジェクトを応援するための企画です。

今回の講演のテーマとなったスマートコミュニティは、独立型の電源である再生可能エネルギーを大量に導入し、蓄電池、EV、コジェネ、HEMSなどをからめ、自立型のエネルギーを確保した災害に強いコミュニティを意味します。原発が停止したために大混乱をした東日本大震災の教訓から生まれた新しい地域づくりの方向性です。

地域から遠いスマートコミュニティ

うまく立ち上げることができれば、地方創生の柱にもなり、素晴らしい地域づくりにつながるスマートコミュニティですが、地方都市でやろうとするとなかなかうまくいかない。スマートコミュニティに関する情報やノウハウが不足し、事業を担うべき企業が育っていないのが現状です。

もちろんスマートコミュニティには補助金も用意され、インフラや機器の導入などをセールスする全国区のメーカーやコンサルタントは存在します。ただ問題なのは、短期的な役割を担う彼らだけでは地方創生を見すえた課題解決に至らないことです。その結果、多くの地域でハード優先の事業が増え、同じようなスマートコミュニティばかりが増えてしまいます。

固定価格買取制度によって爆発的に広がった再生可能エネルギーのビジネスにも同じことが言えます。大手企業や投資家がやってきて地域にメガソーラーが設置すれば多少の地代や地球温暖化防止には役立でしょう。でもそれが地域の課題解決につながることはありません。固有の資源である自然エネルギーを地域外の人が開発して利益を持ち出してしまえば、地域への還元は少なくなります。さらに地域の景観を破壊して再生可能施設を導入すれば、そこに住む人々や、観光客のみなさんが魅力を感じる地域の長所を失うことだっておこります。長期的な視野で再生可能エネルギーが開発されなければ地域に大きな傷を残すことになります。

まさにスマートコミュニティも同様です。インフラや機器が導入されたとしても一過性の事業にしかなりません。地域の課題が、雇用改善なのか、廃棄物処理なのか、人口減対策なのか、魅力の開発なのか・・・。そうした課題によりそって初めてオリジナルなスマートコミュニティが生まれ、持続的な事業につながっていきます。

大切なのは多様な人の環をつくること

理想のスマートコミュニティを自らの手にするためには、様々な課題を洗い出し、解決の道筋を探り、具体的なロードマップを描くことが必要です。そのためには全体を俯瞰する人も必要ですし、情報を受発信する窓口もつくらなければいけません。

再生可能エネルギーにせよ、スマートコミュニティにせよ、しっかりとした地域の環をつくらないと、一方的に資源が吸いとられるだけ。ポジティブな循環はつくりだせません。そうしたネットワークをつくるためには、目先の利益にまどわされず、しっかりと時間をかける必要があります。多様な価値を持つ方々に心地よく参加してもらうには利害調整にもエネルギーを割かざるを得ない。こうした難しさを抱える問題であるがゆえに外部の人たちだけでは地域のネットワーク組織がつくりだせないのです。

そう考えると地域の未来を誰かにまかせることなく、自分たちのこととして腰をすえて関わっていく仲間を増やす活動がますます重要になってきます。逆にそういう思いの人たちが生まれてこない地域は時代の大波に飲みこまれ、厳しい選択を迫られることになるでしょう。

地域での人づくりや、ネットワークづくりは地味な作業でそこに脚光があたるということはあまりありません。これまでの私たちの活動も地球温暖化や森づくりのために必要となるネットワークづくりが中心でした。

そんな僕らの活動に対して「エコロジーオンラインのような団体が地域にあったら良かったのに・・・」と言われることも多くなりました。エコロジーオンラインがそうした評価を受けるようになったわけですから、全国的にネットワーク組織が必要な時代に入ったと言えそうです。

地域で事業を続けていくためには地域が健全であることが不可欠です。自分たちの事業をしっかり継続させていくためにも地域課題の解決についてよくよく考えていくことが重要なのです。

文 / 上岡裕

(協力:日本住宅新聞)

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