気候変動の被害者たち(17) ヨーロッパの大都市を気候変動リスクが襲う

美しいロッテルダムの街並み。海抜ゼロメートル以下の土地がほとんどだ。 CC BY-NC 2.0 / Maciek Lulko
美しいロッテルダムの街並み。海抜ゼロメートル以下の土地がほとんどだ。 CC BY-NC 2.0 / Maciek Lulko

地球温暖化によって海面上昇が起こる。

地球温暖化の講演会などでよく聞くフレーズだ。

中国が温暖化防止に積極的に転じた背景には、同国の発展を支える沿海部の都市が海面上昇で壊滅的な被害を受けることがわかったことがあると言われ、ニューヨーク市でも海面上昇を想定した具体的な対策もとられ始めている。

一体、海面上昇による経済的被害はどれほどになるのか。それを調べた結果が発表された。

調査対象となったのは、イスタンブール、ロッテルダム、バルセロナ、ハンブルグ、ロンドン、ダブリン、マルセイユ、サンクトペテルブルク、コペンハーゲンなど、ヨーロッパの19の都市だ。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が予想した最悪のシナリオに沿って温室効果ガスの排出が続いた場合、これらの都市は2030年で12億ドル、2100年には400億ドルを超える経済損失が出ることがわかった。

巨大な自然災害がこれらの都市を襲わなくても、小さな災害の積み重ねがこれらの都市の脆弱性に追い打ちをかける。

今後、本格的な温暖化対策をとらなかったとすると、わずか13年後の2030年にロッテルダムが受ける被害は2億4千万ドル。ちょっとした差でイスタンブール、サンクトペテルブルク、リスボンと続く。

2100年のイスタンブールの経済的な損失はなんと100億ドル。ウクライナのオデッサが65億ドル、ロッテルダムが55億ドル、グラスゴーとダブリンが15億ドルと続く。

500万人以上の人口を持つ世界のメガシティーの2/3は海沿いに存在する。日本もメガシティのほとんどが海沿いにある。ヨーロッパ以外でも同じような経済的損失が出ることは間違いない。

気候変動の抑制や適応はその対策が遅れれば遅れるほどコストが上昇する。目先の利害に振り回されず、未来を見据えた一歩を踏み出す時だろう。

 

<参照リンク>
Climate Risk Assessment under Uncertainty: An Application to Main European Coastal Cities
Risky business: calculating climate change losses in major European coastal cities

 

翻訳・文 / ライツフォーグリーン

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