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気候行動の方向性は正しいが、速度を上げる必要がある!国連気候変動枠組条約サイモン・スティール事務局長

Image by Ed White from Pixabay

 

国連気候変動枠組条約(UNFCCC)のサイモン・スティール事務局長は、最新の「国が決定する貢献(NDC)統合報告書2025」の発表にあたり、世界の気候行動は新しい時代に入り、進むべき方向性は明確に改善されているものの、その速度を緊急に加速する必要があるという力強いメッセージを発した。

 

パリ協定が採択されて10年が経過し、各国が設定する国別気候目標(NDC)は、過去に例を見ないペースと規模で進化している。報告書は、パリ協定が実際に具体的な前進をもたらしていることを示しているが、その効果が「もっと速く、もっと公平に」機能する必要があり、その加速は今すぐ始まらなければならないと強調している。

 

気候危機の深刻さは、これまでにないほど明らかになっている。気候変動に起因する干ばつ、洪水、嵐、山火事は、年を追うごとに各国を厳しく襲い、人々の生活とインフラを破壊し、GDPを削り、物価を押し上げている。これに対し、強固な気候行動を取ることで得られる機会もまた、計り知れないほど大きい。数百万の新規雇用と数兆ドル規模の新規投資がその報酬であり、気候行動こそが21世紀の経済成長と雇用の原動力として台頭しつつあるのだ。

 

今回のNDC統合報告書から読み取れる進展はいくつかある。まず、新しいNDCの多くは、質、信頼性、経済的な幅広さの点で、大きな進歩を見せている。世界の気候変動対策の成績表にあたるグローバル・ストックテイク(GST)の結果がNDCに反映されている国は88%に上り、気候変動への対応がより統合されたものになっている。また、89%の国が経済全体を対象とする目標を設定し、適応とレジリエンス(回復力)の要素を含める国も73%に増加した。さらに、小島嶼開発途上国を中心に、損失と損害(Loss and Damage)がNDCの中核要素として組み込まれつつある。

 

この報告書は、各国がネット・ゼロ目標に向けて明確な一歩を踏み出していることを示している。完全なデータではないものの、最新の計算を加味したより広い展望では、世界の排出量は2035年までに約10%削減される見込みであるという。これは、人類が初めて排出曲線を下向きに曲げている明確な兆しであり、前進の勢いは評価されるべきである。

 

しかし、事務局長は「進むべき方向性は毎年改善されているが、さらなる速度が必要である」と警鐘を鳴らす。温暖化を1.5℃に抑え、最悪の気候影響を回避するためには、パリ協定の仕組みを活用して気候変動への危機感を引き上げ、すべての面でペースを大幅に上げる必要がある。

 

この加速を成功させるためには、今回の危機に最も責任が少ない多くの国々に対し、より多くの支援が必要となる。COP30では、世界は以下の三つの主要な課題に応えなければならないと述べている。

 

明確な信号を送ること

気候協力が機能しており、それをさらに加速させるために、すべての主要な問題で具体的かつ強力な成果を達成すること。

 

実行を加速させること

すべての経済部門、そしてパリ協定のすべての部分で実行を加速させること。

 

気候行動を人々の生活と結びつけること

すべての人がその恩恵を共有できるようにすること。

 

私たちはまだレースの途中であり、今日の80億人すべてにとって住みやすい地球を確保するためには、気候変動対策のペースを緊急に上げなければならないのである。

 

<関連サイト>

The Direction of Travel Improving Every Year, But we Need to Urgently Pick up the Pace: UN Climate Change Executive Secretary on 2025 Nationally Determined Contributions Synthesis Report

 

翻訳・文 / エコロジーオンライン編集部(AIを使用)

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