シャンパンコルクから生まれた印鑑 その名も「シャン判」

 先日のEOLニュースで、コルク栓のワインを選ぶことによって、生物多様性の保全や雇用の創出に貢献できることを紹介した。例えば、フランスのシャンパーニュ地方では、毎年3.2億本のシャンパンが生産され、日本にも年間600万本ほどが輸入されるなど、使用されるコルクの量は膨大だ。しかし、飲み終えた後のコルク栓の多くが可燃ゴミとして廃棄されてしまっているのだとか。使用済みのコルクは、家の断熱材や床材、靴の中敷など、他のさまざまなコルク製品にリサイクルできることから、ただ燃やして捨てるにはあまりにももったいない。

 このコルク栓に注目し、デザインの力で新たな命を吹き込んだのが、リサイクル印鑑「シャン判」だ。製作したのは、クリエイティブユニット「SPEAKER」と、複数のデザイン会社による合同事業「Re-born Project」との共同プロジェクト。キノコ型のシャンパンコルクから角印を着想したことから誕生したシャン判は、コルクの持つ独特の柔らかさが手になじみ、通常の印鑑よりもしっかりと押すことができる。サイズは、直径25mm×高さ45mm。「請求書在中」「速達」「暑中見舞」など、30種類以上の規定デザインから選ぶことのできるスタンダードモデル(3675円)と、印面を自由にデザインできるオリジナルデザインモデル(4725円)の2種類がある。

 使えるモノをゴミから救い出し、見事なプロダクトへと昇華させたことについて、SPEAKERの西山眞司さんは、「私たちのデザイン思想は、『View things from a different point of view.(異なる視点から物事を考える)』。既成や業界などの"当たり前"を覆すことこそが、未来を切り開く唯一無二の方法だと思います」と語る。ゴミを減らすだけでなく、見た目にもオシャレなシャン判。人前で捺印するのが楽しみになりそうだ。

文:加藤 聡

サイト

SPEAKER Inc.

URL: http://speaker-inc.com/

contac+ onlineshop

URL: http://speaker.shop-pro.jp/

Re-born project

URL: http://re-bornproject.jp/

 

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