【アメリカ発】ネイティブ・アメリカンが太陽光発電事業に乗り出す

 アメリカのニューメキシコ州に住む人口約3000人のへメス・プエブロ族は、現在、実用規模ではネイティブ・アメリカンとして初めての太陽光発電所建設を目指している。貧しいネイティブ・アメリカン種族に安定した収入源をもたらすことが期待される。

 

 今回のプロジェクトでは、30エーカー(約12ヘクタール)の土地に14,850個の太陽光発電用パネルを設置する予定。資金は政府のさまざまな融資や交付金、税額控除を利用して得る。これにより600家庭分の電力を供給することが可能で、始動から25年間で2500万ドルの利益を生む見積もりだ。

 ネイティブ・アメリカンが非常に貧困なことは有名だが、その失業率は米国の失業率の2倍以上にもなる。

「我々には、小さなコンビニを除いて、全く収入源がないのだ」と話すのは現在プエブロ族を議会で代表するJames Roger Magdalena氏。今回のプロジェクトがプエブロ族にとって安定した収入源になることの重要性を強調する。

 

 Magdalena氏は世界中で起こっている環境変化を認識した上で、これらの変化がもたらす経済的な可能性に期待している。Magdalena氏は、「種族にとって、環境を大きく傷付けることなく、何世代にもわたって継続できるようなことを見つけるために、我々が革新的で創造的になることは不可欠なことだ」と話した。

 

 米エネルギー省の試算によると、全米でネイティブ・アメリカンが保有する土地5500万エーカーを利用すれば、風力発電では年間550万キロワット時を発電可能だという。太陽光発電なら更に多くの電力を発電可能で、年間17兆キロワット時の電力を発電することが可能だとする。これは全米で発電される総電力の約4倍にもなるという。

 

 ネイティブ・アメリカンの人たちにとって安定した収入源になり、再生可能エネルギーの普及拡大のためにも望ましいプロジェクトのように思える。ただし、彼らが先祖から受け継いできた土地を手放していく先にあることについても、慎重に考えていかなくてはいけないだろう。

 

 

文:温野 まき 翻訳サポート:中野 よしえ

サイト

Clean Technica.com

URL: http://ow.ly/3xPWh  

 

«一つ前のページへ戻る