環境政策で電気代は三度(みたび)上がる

日本の火力発電への依存度はまだまだ高い Photo by isado
日本の火力発電への依存度はまだまだ高い Photo by isado

 昨年末にようやく導入のメドがついた地球温暖化対策税(以下、環境税)。関連法案が順調に国会を通れば今年10月から導入される。

 

 環境税は、石油・石炭などにかかっていた従来のエネルギー税へのプラスアルファとして、それぞれのCO2排出量に応じた税率を上乗せする税制度となる。この制度で特にコスト増が見込まれるのが日本の電力の約7割を生み出す火力発電所を保有する電力会社。そのコストは電気料金に上乗せして利用者全てから徴収することとなった。1月13日に開催された経済産業省の総合資源エネルギー調査会電気事業分科会中間報告で、環境税によるコスト増は電力会社の経営努力が及ばない「外生的な要因」であると位置づけその費用は電気料金に上乗せするとしたためだ。

 経産省の試算によるとこれに伴う電気代の増額は世帯あたり月34円。税額は段階的に引き上げるということで、導入当初は34円よりは少ない実質負担となるという。また、現行0円の「太陽光発電の余剰電力買取制度」下における「太陽光発電促進付加金(サーチャージ)」も、今年の4月から実額の徴収が始まる。電力会社により差があり、月3円~21円の料金が電気料金にプラスされる。さらに同制度は2012年には太陽光だけではなく風力や地熱など全ての再生可能エネルギーを対象とする全量買取制度への移行を目指しており、これが実現すれば月150円~200円程度への増額が予想されている。

 

 これらの政策が施行されれば、今年から来年にかけて都合3回、電気料金が引きあがることになる。それぞれの金額は僅少とはいえ、負担するのは電力を使う全ての消費者。不景気の折、基本料金のベースアップは1円でも抑えたい。そんななかから支出する以上、政府には適切な使途とその明示が求められる。

 

 サーチャージについては、太陽光を中心とした再生可能エネルギー施設の敷設促進を進めるという明確な使い道があるが、環境税に関してはその税収の使途に不透明感がただよい、なし崩し的に環境と関連の薄い事業に充てられる可能性もあるという。地球温暖化対策と銘打ってある以上その使途は目に見える形で環境貢献につながることが望ましく、その使い道には目を光らせておく必要がありそうだ。

 

総合資源エネルギー調査会電気事業分科会制度環境小委員会(第3回) 配付資料

http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/denkijigyou/seido_kankyou/003_haifu.html

 

文:工藤丈晃

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